ドルフィンスルーとは、サーフィンの波の下をくぐるときに使うテクニックのことです。ちなみに英語圏では「ダックダイブ」と呼びます。本記事ではバリ、ハワイ、オーストラリアで教えてもらったドルフィンスルーの正しいやり方について解説しています。
サーフィンを始めたばかりの頃ってドルフィンスルーを苦手に感じるヒトも多いですよね。
本記事では初心者の時期につまづきやすいドルフィンスルーと、リーフブレイクやビーチブレイクでも応用できる楽で簡単な正しいドルフィンスルーのコツについてまとめていきます。まずはサーフィンライフハックの動画をご覧ください。
- 息を吐いて行う
- サーフボードのレールを掴まない
- 膝でボードを押す
- 波と平行な姿勢を保つ
- 浮上するまで我慢する
上記の5つが基本ポイントになります。※「サーフボードのレールを掴まない」のポイントは人それぞれでやりやすさが違うので、難しい場合はレールを掴んでも大丈夫です。
私の場合はリーフブレイクの沖縄なので深く潜るとリーフに当たるし、浅すぎるとリップに巻き上げられるという経験を何度もしてきました。
ドルフィンスルーが上手くいかないのは、もしかしたらマニュアル通りのドルフィンスルーを実践しているからかもしれません。
目次
マニュアル通りのドルフィンスルーとは?

マニュアル通りのドルフィンスルーとは雑誌やハウツー本で教えられているドリフィンスルーのやり方です。
例えば以下のようなやり方がテンプレとして紹介されることが多いです。
- パドリングでスピードをつける
- 膝を使ってボードを沈める
- 頭を下げる
- ボードを沈める
基本的なコツはこんな感じですよね。それをイラストを使って丁寧に解説しているハウツー本も多いです。でもこれだと毎回ベストなドルフィンスルーをやらなきゃいけないと思いますよね。
サーフィンのパフォーマンスが最も良くなるのは「適度に力を抜いてる」状態です。
毎回毎回本気のドルフィンスルーを実践しようとすると、ピークにたどり着くまでに疲れてしまうし、そもそもドルフィンスルーにはいくつか性質があることを知っておいてください。
ドルフィンスルーが必要な3つのシーン

ドルフィンスルーが必要な3つのシーンとは以下のものです。
- ピークに向かうときの小さなうねりを越えるため
- インサイドのスープを越えるため
- ピークのリップに潰されるときに潜るもの
大きく分けると3つのシーンでドルフィンスルーは活用します。でもそれぞれ波の性質も違えば、ボトム(海の中)の状況によってもドルフィンスルーのやり方は変わってきます。
リーフブレイクのドルフィンスルー
ハワイや沖縄のサーフポイントはリーフブレイクがほとんどで、基本的に水深は非常に浅いです。普通にパドルしていてフィンが当たるような水深だったり、うっかり教科書通りのドルフィンをしようものならノーズから壊れてしまいます。
なのでリーフブレイクのドルフィンスルーを成功させるためには、リーフと波の間に体とボードを滑り込ます感覚が大切です。
ぶっちゃけて言うとリーフブレイクのドルフィンスルーは慣れるしかありません。じゃあブログ書くなよって話ですが、もうそれはすみません。
それでもいくつかポイントがあるので、紹介しておきます。リーフブレイクポイントのドルフィンスルーを成功させるコツは以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 海の流れ(カレント)を読む
- 思いっきり下に潜らず斜め下に潜水する感覚
- インサイドピークを避ける
リーフブレイクポイントでドルフィンスルーを成功させるためには練習の必要もありますが、最も有効な手段は「ピークを避けること」です。
ビーチブレイクと違い割れる場所が一定なのでむしろ簡単です。インサイドのカレントに捕まってしまったら、無理にアウトに出ようとせず、一回波や流れが弱くなるポイントまで流されたあとでアウトに向かう方法が最も賢いやり方です。
ドルフィンスルーを成功させるコツは波の下を潜り抜けることですが、水深が浅い場合は上手く波にのまれる方法も同時に学ぶ必要があります。
リーフブレイクの場合はリップの巻き上げが速い場所がほとんどなので、ドルフィンに成功するよりもリップに巻かれることのほうが多いと思います。
巻かれず、ボトムにボードをぶつけない絶妙な位置にドルフィンスルーを成功させるためには、やっぱりこれも感覚的なものなので練習が必要でしょう。
ドルフィンスルーの体勢とやり方はハウツー本で書かれてる通りで間違いありませんが、潜る角度やタイミングは波質やボトムの状況によっても変わってきます。
リーフブレイクでドルフィンスルーを上手に行うためには、カレントをよく読み、深すぎず浅すぎず潜って、インサイドピークを避けることが大切です。
初心者のうちはそれほど大きな波に突っ込むこともないので、水深が浅く、波のサイズが頭オーバーになるシチュエーションでのドルフィンスルーについては解説しないでおきましょう。
ビーチブレイクでのドルフィンスルー
ビーチブレイクのドルフィンスルーはニュージーランドで初めて経験しました。わたしはそれまで沖縄のリーフブレイクやポイントブレイクでしかサーフィンを経験してなかったので、リーフとビーチは全然違うスポーツだなと感じましたね。
ビーチブレイクではリーフブレイクのドルフィンスルーが全く通用しないことが分かりました。わたしがビーチブレイクで意識することは以下の3つです。
- パドルを休まない
- 思いっきり下に潜る
- 潜りながらも進む
サーフィンはリーフブレイクが難しいと思ってましたけど、いやいやいや絶対ビーチブレイクのほうが難しいし、スキルもパドル力も必要です。
まずビーチブレイクの場合は海に入る前に波の状況をよく観察しなければいけないですよね。波質もブレイクポイントもセットの状況もそれぞれ違う。
なので海に入る前に自分が一番ピークに向かいやすいポイントを探る必要があります。
そしていざ海に入ると、絶え間なく押し寄せる波のせいで思うように前に進めないので、ずっとパドルをしなければいけません。
スープのときは潜る必要もなく、波の上を越える形で進むこともできますが、ピークに近くなるとダンパー気味で厚い波が続くのでしっかり潜らないと波を越えることができません。
教科書通りのドルフィンスルーはこのためにあるのか!と思いましたが、それだけではなかなか前に進めなかった。そこでニュージーランドのめちゃめちゃ上手いサーファーに教えてもらったのがコレでした。
「潜ったあとにすぐ浮上するんじゃなくて、そのまま進むつもりで潜れ」
「?」
ですよね。実際わたしもそうでした。でもやってみると全然違います。その時間は1秒もないくらい短いものなんですが、潜りながらも前に進む感覚でドルフィンすると絶え間ないビーチブレイクの厚くてトロい波でもしっかり前に進めるようになりました。
日本のビーチブレイクは経験したことがないのでアレですが、バリ島のサヌールシークレットや、ハワイでもこのやり方は有効でした。
小さな波と大きな波のドルフィンスルー

サーフィンがうまい人たちは無意識のうちにいくつかのドルフィンスルーを使い分けています。例えばピークに向かう時のドルフィンスルーと、ピークの波を越える時のドルフィンスルーは全然違います。
次に解説するのは波のサイズやパワーによって切り替えたいドルフィンスルーのやり方です。
小さな波は腕とヒザを使って楽にドルフィンスルー
ピークに向かう時、波がそんなに大きくない時のドルフィンスルーは腕とヒザの力を使って、うまくボードを沈めながら波の下を越えていきます。
ハウツー本に書かれているやり方は、つま先をボードのテール部分にしっかり置いて、ノーズをガツッと沈めて後ろ足でけり出すように潜りましょうと書かれています。
もちろん正しいやり方なのですが、正直言って波が小さいインサイドやアウトに向かう時にやると…なんていうか…あの…恥ずかしいですよ(笑)
いやそこはそんなに本気でやらなくてもいいだろってみんな思ってるはずです(笑)
小さい波を越える時はボードをスーッと沈める感じで腕に体重をかけてノーズを沈めます。そしてスープやうねりが自分の体にぶつかりそうになる手前で後ろ足のヒザを使ってボード全体を沈めます。
そんな感じで波を超えればオッケーです。とにかくエネルギーを節約しながら前に進んでいきましょう。
大きな波のリップを越える時は思いっきり潜る
初心者のうちはなかなかそんなシチュエーションは少ないかもしれません。仮に今まで経験したことのないような大きな波を越える時はとにかくスピードをつけて、下に潜る。それしかありません。
教科書通り「つまさき」を使って全体重をノーズにかけて潜りましょう。そのとき勢いをつけるため体一度持ち上げてからノーズにドンッと体重を乗せていくと効果的です。
沖縄の台風時に覚えておかないとヤバい本気のドルフィンスルー
バリ島、ハワイ、沖縄の台風時のような大きくてパワーがあって、水の量も多い波を越える時はいままでのドルフィンスルーとは違ったやり方が必要です。
- 思いっきりよりも思いっきり真下に潜る
- 海の中で下に下に潜っていく
- 海の中で前にも進む
2016年、2017年と二年連続でワールドチャンピオンに輝いたジョンジョン・フローレンスのドルフィンスルー練習動画を見てみましょう。ボードを抱えたまま50mプールの中をぐんぐん進んでいます。
あっちなみに英語では「 Duck Dive ダックダイブ 」と言います。アヒルが水の中に飛び込むような姿に似ているからそう呼ばれています。ドルフィンスルーは日本でしか通用しないので覚えておいてくださいね。
パイプラインのように水深が浅く、水の量も、波のパワーも桁違いの場所で波を越える時にはこうしたドルフィンスルーのテクニックも必要なのです。
また通常の思いっきり潜ることよりも、もっともっと真下に思いっきり潜るくらいの感覚で潜らないとリップに巻き上げられて洗濯機状態にもみくちゃにされる可能性もあります。
わたしはバリ島のスランガンでボードに腕を引っ張られて肩を痛めました。それからずっと肩に故障を抱えています。あのスランガンの波はせいぜいダブル未満ぐらいの波でしたが、パワーと水の量をなめていたので、沖縄の波と同じように潜ってしまった結果でした。
沖縄の台風時は水深が浅い場合は真下に潜ることはできませんが、潜りながらも斜め下に進む感覚は大切でしょう。
このやり方はあくまでも通常のドルフィンスルーが上手になってから、応用するやり方なので、まだドルフィンスルーが上手く使えない場合は無視してください(笑)
ドルフィンスルーのコツまとめ

ドルフィンスルーは誰でも最初はうまくできるものではありません。練習を繰り返して、いろんなポイントでサーフィンを経験することで少しずつ上手になっていきます。
焦らなくても必ず上手にできるようになるので、めげずに波に向かってトライし続けましょう。
Keep Happy Surfing !