ファイヤーワイヤー サーフボード 5モデル実使用レビュー

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FIREWIRE アイキャッチ

この記事でわかること

  • Too Fish・Avocado・Dominator・Almond Butter・Omniの5モデルを乗り比べた感想と乗り味の違い
  • 「小波で楽しい」という評判が実際どういう意味なのか、その具体的な根拠
  • 価格の高さに見合う価値があるかどうかの正直な評価
  • ファイヤーワイヤーが向いているサーファーと向いていないサーファーの整理

ファイヤーワイヤーは、EPS素材と独自シェイプで知られるオーストラリア発のサーフボードブランドです。私はこれまでToo Fish・Avocado・Dominator・Almond Butter・Omniの5モデルを、沖縄のリーフブレイクで実際に乗り込みました。結論を先に書きます。ファイヤーワイヤーは「攻めるためのボード」ではなく、「コンディションが悪い日でも波を楽しめるオルタナ系ボード」です。この定義を頭に置いておくと、各モデルの評価も価格への納得感も、見え方がはっきりします。

ファイヤーワイヤーとはどんなブランドか?

ファイヤーワイヤーは2007年に創業されたオーストラリア発のサーフボードブランドです。

最大の特徴は製造技術にあります。従来のPUブランクス(ポリウレタン)+ポリエステル樹脂という組み合わせではなく、EPS(発泡スチロール)フォームコアとエポキシ樹脂を使います。この素材の違いが、乗り心地・重量・耐久性のすべてに影響を与えます。

EPS+エポキシの特性は大きく3点です。まず同じシェイプでPUより軽くなります。次に浮力の感覚が上がります。そして水を吸いにくいため、長期間使っても重くなりにくいです。

ブランドの強みはシェイパーとのコラボレーションにもあります。ケリー・スレイター、ロブ・マチャド、DHD(ダーレン・ハンドリー)、アーモンドサーフボードなど、それぞれ異なる哲学を持つシェイパーやブランドとのコラボモデルを展開しています。そのため、ラインナップ全体の幅が広く、超ショート系からミッドレングス近いモデルまで揃っています。

近年はシュガーケーン(サトウキビ由来のバイオEPS)など環境配慮素材も取り入れており、素材面での差別化をさらに進めています。ただしこれも価格に反映されている側面があります。この点については後述します。

ブランド全体を通じた印象を一言で表すなら、「テクノロジーを使って楽しさを広げる」です。競技で勝つためではなく、普段のセッションをもっと楽しくするためのボード群という位置づけが、実際に5モデルを乗った感覚とも一致しています。他ブランドとの立ち位置の比較はサーフブランド20選|40代サーファーが本音で選ぶ人気ランキングにもまとめています。

5モデルを乗り比べてわかったことは何か?

それぞれのモデルには明確に異なる個性があります。

同じブランドでも、Too Fishで感じる乗り味とAlmond Butterで感じる乗り味はまったく別物です。「ファイヤーワイヤーを買う」ではなく「どのモデルを買うか」の判断が最も重要です。以下、私が沖縄のリーフブレイクで乗り込んだ順に整理します。

Omni(オムニ)

Omniは私がファイヤーワイヤーと本格的に付き合い始めたモデルです。3年間乗り続けました。ケリー・スレイターが設計に深く関わったデュアルコンケーブデザインで、ボトムの形状が独特です。

3年乗り込んで感じた最大の特徴はパドルの軽さです。同じサイズのPUボードと比較して、水面を滑る感覚が軽く、テイクオフの瞬間にボードが立ち上がりやすいです。膝〜腰サイズの波でも、きちんとスピードに乗れる場面が増えました。

詳しい使用感はFIREWIRE OMNI レビュー:3年間使用した中級者が性能と特徴を徹底解説に全部まとめています。ここでは概要にとどめ、他の4モデルに紙幅を割きます。

Too Fish(トゥーフィッシュ)

Too Fishはフィッシュシェイプをベースにしたモデルです。ワイドなアウトライン、スワローテール、フラットなロッカーが特徴で、ツインフィンまたはクアッドフィンで乗ります。

乗った瞬間に気づくのはテイクオフの早さです。波のパワーが弱く、ショートボードだとパドルが追いつかないような場面でも、Too Fishはすっと波に乗れます。フラットなロッカーとワイドなアウトラインが、波のパワーを面で受け止めてくれるからです。

ドライブ感も気持ちよいです。一度波に乗ると、フェイスをなぞるように滑走する距離が自然と長くなります。縦への動きはシャープではありませんが、カービングでレールを入れるとボードがきちんと応えます。

注意点は、クアッドとツインで乗り味が大きく変わることです。クアッドはスピードとホールド感が上がり、ツインはルーズで滑らかな乗り味になります。初めてToo Fishを試す場合は、クアッドセッティングから入ったほうが扱いやすいと感じました。

向く波のサイズは膝〜胸です。腰〜肩サイズなら十分楽しめます。頭サイズ以上になると、フラットロッカーのせいでドロップが少し落ち着かない場面がありました。大きい波で攻めるボードではなく、小波でのライド本数を稼ぐボードと理解して選ぶのが正解です。

Avocado(アボカド)

Avocadoはロブ・マチャドとのコラボレーションモデルです。アウトラインはショートボードよりも丸みがあり、ノーズが少しワイドです。シングルコンケーブからVEEに抜けるボトム形状が、独特の滑らかさを生んでいます。

乗ってみると、とにかく波をよく拾います。パドルが軽く、テイクオフのタイミングに余裕が生まれます。「今のは入れたな」という波が増えるため、1セッションの充実度が変わります。

乗り味はゆったりとしています。波の上でボードが自然な弧を描くように動き、意識して動かすより波に合わせて流れる感覚です。ロブ・マチャドのスタイルを連想してもらえると、イメージが近いかもしれません。

腰〜肩サイズが最も楽しめる波のサイズです。頭サイズになると、少しルーズ感が出てきます。精度の高いターンより、フェイスを長く使った伸びやかなサーフィンが好きな人に向いています。週末に「とりあえず乗りたい日」のサブボードとしても機能します。

Dominator(ドミネーター)

DominatorはDHD(ダーレン・ハンドリー)との共同シェイプで、ファイヤーワイヤーのラインナップ中では最もオールラウンドな性格を持つモデルです。

ショートボードの機動性をある程度残しながら、浮力と波キャッチ力を底上げしたハイブリッド設計です。スラスターセッティングで乗れるため、「ショートボードのポジショニングで乗りたいが、小波でも波を逃したくない」という要望に応えてくれます。

5モデルの中で最も「中間に立っているボード」という印象です。Too Fishほどの滑走特化でもなく、Omniほどのフラット設計でもない。縦の動きも出せますが、攻撃的なサーフィンには少し物足りない場面もあります。

逆に言えば、コンテスト志向でなく日々のセッションを楽しみたい週末サーファーにとっては、確実に使える守備範囲の広さが魅力です。初めてファイヤーワイヤーを試すなら、Dominatorが最も失敗しにくい選択だと感じています。

Almond Butter(アーモンドバター)

Almond Butterはファイヤーワイヤーとアーモンドサーフボードのコラボレーションモデルです。5〜7フィート台のレンジで展開されており、5モデルの中で最もミッドレングス寄りのシルエットを持ちます。

乗り味は5モデル中で最もゆったりしています。波のフェイスを長く使ってカービングする乗り方に特化しており、スピードに乗ったまま波と長く付き合う感覚があります。テイクオフの早さはToo Fish以上で、膝〜腰サイズの波でも問題なく滑り出せます。

このモデルで縦の動きを求めるのは難しいです。シェイプの方向性がそもそも違います。ただし「ゆっくり波と付き合いたい」「長いライドを楽しみたい」という方向性であれば、5モデル中で最も満足度が高いと感じました。

フィッシュ系でも別の乗り味を探しているなら、ファイヤーワイヤー The CREEPER に乗ってみた感想も合わせて読むと、モデル選択の参考になります。CREEPERはAlmond Butterとは異なる方向のフィッシュ系です。

「楽しい小波」という評判の実態はどうか?

ファイヤーワイヤーの評判でよく聞く「小波で楽しい」は、正確です。

ただしこれは「小波専用」という意味ではありません。「小波でも楽しめる守備範囲の広さ」という意味です。この違いは実際に乗ってみると明確にわかります。

私が実感したのは、沖縄のリーフブレイクでスネ〜腰サイズの波がたまにセットで入ってくる日のことです。ショートボードでパドルしていると、波のパワーが弱くテイクオフできずに終わる場面が続いていました。そのセッションでToo Fishに持ち替えた日、ライドできた本数が体感で倍近く増えました。

「波を逃さない」から「楽しい」という構造です。コンディションが悪い日に入れる波数が増えると、1セッションの満足度がまったく変わります。

EPS素材の軽さも関係しています。パドルに使う力が少なく済むため、1セッションでの疲労度が下がります。40代以降のサーファーにとって、これは小さくない差です。体力が十分なうちは意識しにくいのですが、パドルの疲労が蓄積すると後半のセッションの質が落ちます。軽いボードはその疲労を遅らせてくれます。

一方で、誤解しやすい点もあります。EPS+エポキシはPUよりレールの反応がやや柔らかく感じる傾向があります。カリカリのショートボードに慣れているサーファーは、最初に違和感を覚えることがあります。これは構造上の特性なので、乗り込めば慣れますが、好みの問題として残る場合もあります。

また、波が大きくパワフルな日にファイヤーワイヤーを選ぶ理由は少ないです。胸〜肩以上のしっかりした波であれば、PUのパフォーマンス系ボードのほうが応答性が高く、縦の動きも出しやすいです。ファイヤーワイヤーを「全日型の1本」と考えるより、「コンディションを選ばない日のメインボード」として位置づけるほうが、使いやすさが上がります。

私はサーフィンを続けていく中で、35歳まではショートボードしか乗りませんでした。「ショート以外は自分には関係ない」と思い込んでいたのです。ファイヤーワイヤーのオルタナ系モデルに初めて乗ったとき、「攻めない日のサーフィン」にも充実感があると初めて知りました。波に合わせてボードを選ぶ楽しさが増えたのは、ファイヤーワイヤーがきっかけのひとつです。

価格の高さに見合う価値はあるか?

ファイヤーワイヤーは正直に言って、高いです。

国内での実売価格は、ショートボードサイズで10〜14万円前後が相場です。同等サイズのPUボードと比較すると、2〜4万円ほど上乗せになるイメージです。この価格差を「高すぎる」と感じるか「納得できる」と感じるかは、使い方次第です。

価格に見合うと感じる要素を整理します。まず耐久性です。EPS構造はPUよりデッキ面の圧痕(プレッシャーデント)が出にくいです。PUボードは頻繁に使うと半年〜1年でデッキが凹んでくることがありますが、EPSはその変形が出にくいです。長く使う人にとっては、年単位で見たときのコストが変わります。

次に軽さです。同じサイズのPUボードと並べると、持った瞬間に差がわかります。パドル中の抵抗も体感で少なく、テイクオフの瞬間の動作が楽です。40代以降でパドルの負担を減らしたいという場合、この差は無視できません。

私の整理は「週2〜3回以上乗るなら価格分の価値がある、週1以下なら慎重に」です。使用頻度が高いほど、軽さ・耐久性・小波での波数増加の差が積み重なり、価格差を回収しやすくなります。

一方、納得しにくい面もあります。レールの反応はPUのほうがシャープな場面があります。また、国内での補修対応は通常のフィンボックス修理程度で、特殊な加工への対応は限られます。高い買い物をしたあとに現地での対応が難しい状況が起きると、気持ちがへこみます。

年に数回しか乗らない場合は、PUの国産ボードや中古ボードに予算を使うほうが合理的です。その分のお金を海外トリップや道具のメンテナンスに回したほうが、総合的な充実度は上がります。価格だけで選ぶ段階であれば、ファイヤーワイヤーは選択肢に上がりにくいです。

どんなサーファーに向いているか?

5モデルを乗り込んだ経験から、向いているサーファーを整理します。

向いている人のパターンは以下の通りです。

  • 週末サーファーで、コンディションが悪い日でもとにかく乗りたい人
  • 35〜50代で、パドルの負担を現実的に減らしたい人
  • ショートボード一辺倒から脱して、複数の乗り味を楽しみたい人
  • スネ〜肩サイズの波が多いエリアに通っている人
  • 同じボードを長く使う前提で、耐久性に投資できる人

逆に向いていない人もいます。

  • カリカリのレール感・縦への応答性を最優先している人
  • コスパを最優先にボードを選んでいる人
  • まだ最初の1本を探している段階の人

ファイヤーワイヤーは「楽しさを広げるための投資」として機能します。波数が増え、楽しめる日が増えることに価値を感じる人には合います。

40代以降のサーファーにとって特に重要なのは「続けられること」です。パドルが楽になり、波数が増え、セッションの充実度が上がる。それが長くサーフィンを続けるための現実的な選択肢になります。そういう観点でファイヤーワイヤーを評価すると、価格も含めて「ありの選択肢」です。

私自身、nanazeroやBeach Accessでのテストライダー活動を続けながら、ファイヤーワイヤーをコンディション次第で使い分けています。1本だけでなく、波と状況に合わせてボードを選ぶ楽しさが増えたことは、サーフィンを続ける上でのひとつの収穫です。

よくある質問

Q. ファイヤーワイヤーは初心者に向いていますか?

テイクオフのしやすさという点では乗りやすいモデルが多いですが、初心者への推奨はしません。価格帯が高く、最初の1本としては費用対効果が出しにくいです。ソフトボードや国産PUボードでテイクオフと波の選び方を習得してから、2〜3本目の選択肢として検討するのが現実的です。

Q. 5モデルの中で最初の1本を選ぶならどれですか?

オールラウンドに使いやすいのはDominatorです。ショートボードの感覚をある程度残しながら、小波での実用性を上げたいサーファーに向いています。フィッシュ系の乗り味を試したいならToo Fish、ゆったりした波との付き合い方を求めるならAlmond Butterが入口になります。いずれにせよ試乗できる機会があれば、まず体感してから選ぶことをすすめます。

Q. PUボードとEPS/エポキシボードの違いは実際に感じますか?

持ったときの軽さは明確に違います。同じサイズでも、EPSのほうが手に持ったときに軽いです。乗り心地はレールの入り方がPUのほうがシャープな傾向があり、EPSは滑らかで柔らかい印象です。どちらが好みかは個人差があります。私はどちらも使い分けていますが、小波の日や疲れを感じているときはEPSを選ぶことが自然と多くなっています。

Q. 沖縄のリーフブレイクでも使えますか?

使えます。私は沖縄のリーフブレイクで5モデルすべてをテストしています。ただしリーフへの接触によるダメージはEPSでもPUでも同様に発生します。クラックが入った場合、EPSは水の浸入が遅いですが、放置すると内部まで広がります。早めの補修と定期的なデッキ点検は欠かせません。リーフでの使用を前提にするなら、ボードバッグでの持ち運びも徹底することをすすめます。

Q. ファイヤーワイヤーはどこで購入できますか?

国内の取り扱い代理店を通じて各地のサーフショップで購入できます。店頭在庫は限られているため、オーダーで取り寄せるケースが多いです。試乗イベントを開催しているショップもあるため、まず試乗の機会を探してみることをすすめます。海外直販も選択肢のひとつですが、送料・関税が加算される点と、現地でのアフターサポートが受けにくくなる点には注意が必要です。

Q. アルメリックなど他のブランドと比べてどう違いますか?

アルメリックはパフォーマンス系のシェイプに強みがあり、縦の動きや攻撃的なサーフィンに向いています。一方のファイヤーワイヤーは、楽しさの幅を広げるオルタナ系に強みがあります。どちらが優れているという話ではなく、波の大きさや乗り方の方向性が違います。アルメリック ニューフライヤー試乗感想も合わせて読むと、両ブランドの違いが具体的にわかります。

Q. ファイヤーワイヤーはメインボードにできますか?

できます。ただしコンディション次第では、もう1本のパフォーマンス系ボードを持っておくと選択肢が広がります。私はファイヤーワイヤーを「コンディションが悪い日のメインボード」として使っています。胸〜肩以上のしっかりした波の日は、PUのボードのほうが縦への応答性が高いと感じることが多いです。1本だけで済ませたい場合はDominatorが現実的な選択です。

まとめ:ファイヤーワイヤーの正直な評価

ファイヤーワイヤーは「攻めるボード」ではなく「楽しさを広げるボード」です。

小波でも波数が増え、コンディションの悪い日でもセッションが充実する。その体験を、高い価格と引き換えに買う選択です。週2〜3回以上乗る人であれば、価格に見合う価値があります。年数回の人は、まず試乗で体感してから判断することをすすめます。

5モデルのうち最初の1本を迷っているなら、Dominatorが最も失敗しにくい入口です。フィッシュ系に興味があるならToo Fish。ゆっくり波と付き合いたいならAlmond Butter。自分のサーフィンの方向性に合わせて選んでください。

OmniとCREEPERの詳細な使用感はそれぞれFIREWIRE OMNI レビュー(3年使用)FIREWIRE CREEPER レビューにまとめています。購入前の参考にしてください。

ヒガシーサー

ヒガシーサー

ブロガー/クリエイター/サーフボード開発/テストライダー

サーフィン歴20年、Beach Access・nanazeroのテストライダー、サーフボード・サーフスケート開発チーム。19年間も上達できなかったが、オーストラリアの科学的メソッドで上達。その経験を軸にブログ・SNSで一般サーファーのためのサーフィン上達方法、楽しみ方を共有している。SNS総フォロワー6.5万人。

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