ミッドレングスで上達しない理由5つ|テストライダーが20年の実体験から解説

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MID07

ミッドレングスで上達しない理由は、大きく5つに整理できます。①ショートの乗り方を持ち込んでいる②スタンスが固定されている③テイクオフ後に何もしていない④フィン設定を変えていない⑤サイズが合っていない——この5つです。

この記事でわかること

  • ミッドレングスで上達しない5つの根本原因
  • 「テールサーフィン」と「レールサーフィン」の違い(日本語記事でほぼ未解説)
  • スタンスを動かすタイミングと足の位置の基準
  • フィン種類別(シングル・ツイン・2+1)の乗り方の違い
  • 20年間・nanazero50本テストから得た「上達の転換点」

ぼくは35歳までショートボードだけでサーフィンをしていました。小波対策と体への負担軽減を目的にnanazero MID01を購入したのが、ミッドレングスの入口でした。最初の3ヶ月間、ターンのたびにテールを蹴り込んでいました。ボードは全く反応しませんでした。「ショートより浮力があるのに、なぜ動かないのか」と困惑しながら毎週通い続けました。その後、Devon Howardのコーチング動画で「ミッドレングスはレールで乗るボード、テールで操作するな」という一言に出会い、次のセッションで感覚がガラリと変わりました。テールを蹴るのをやめてレールを傾けた瞬間、ボードが急に素直に動き出しました。3ヶ月間の停滞が一日で解消した体験が、この記事を書く原点になっています。

ミッドレングスで「上達しない」という感覚は、ボードの問題ではなくアプローチの問題であることが多いです。サーフボード完全ガイドでも整理していますが、ボードが違えば乗り方の哲学そのものが変わります。その変化に気づけるかどうかが、上達の分岐点になる印象です。

理由1:ショートボードの乗り方を持ち込んでいる

ショートボーダーがミッドレングスに転向するときに最初にぶつかりやすいのが、これです。ショートボードは「テールサーフィン」、ミッドレングスは「レールサーフィン」——この違いを意識し始めたのは、乗り始めてかなり経ってからでした。

テールサーフィン vs レールサーフィン

ショートボードのターンはテールを起点にします。後ろ足を踏み込み、テールを水面で弾かせてクイックなターンを生み出します。ポンピング(ボードを上下に弾ませる動作)でスピードを補給する乗り方です。

ミッドレングスはその逆で、レールを水に沈めて、ボード全体のレールラインでスムーズなドローンターンを描きます。テールを蹴り込もうとするとボードが「重い」「反応しない」と感じるのは、ボードの問題ではなく、乗り方がずれているサインです。ポンピングをするとトリムが崩れてスピードが落ちます。「ボードに乗っている時間が長いほど速い」という感覚への転換が、ここで必要になってきます。

英語圏のコーチングでは当たり前の概念ですが(Surfer.com、Devon Howardのポッドキャストでも明確に言及されています)、日本語のサーフィン記事ではこの区別を正面から書いているものがほぼありません。

ポンピングが「逆効果」になる理由

ショートボードのポンピングは、ショルダーに向けてスピードを維持するための有効な手段です。しかしミッドレングスでポンピングすると、ボードのトリム(走行ライン)が乱れてスピードが落ちます。浮力が大きく慣性が強いため、上下の動きに対するボードの反応が「スピードアップ」ではなく「抵抗増加」になるからです。

正しいスピード維持は「重心を低く保ちながら、レールで波のフェイスを捉え続けること」です。膝を深く曲げ、体重を均等分散させながら、レールをフェイスに対して適切な角度に保つ——これが核心になります。

理由2:スタンスが固定されている

ミッドレングスは「乗りながら足を動かす」ことが前提のボードです。この前提を知らずに、ショートボードと同じ固定スタンスで乗り続けているケースはよくあります。ぼく自身、最初はそうでした。

Beach Access Standard 7’6″に乗り始めた頃、スタンスを動かすという発想がありませんでした。52Lという浮力は安定感を与えてくれましたが、「ロングほど安定しないのにショートほど動かせない」という中途半端な感覚が3ヶ月続きました。ある日のセッションで意図的にステップバックしてみたら、フィンが突然グリップして波の下半分でボトムターンを描けました。「乗りながら足を動かす」という単純なことを試した日から、波乗りが別物になりました。それまでの「なんとなく走るだけ」が終わった瞬間でした。

足を動かすタイミングの基準

状況足の動き理由
波のパワーが弱い・ショルダー側ステップバック(後ろ足をフィン直上へ)テールを沈めてフィンにグリップを与える
波が掘れてきた・パワーゾーンスタンスを前に移動加速モードに入りノーズに推力をかける
ターン直前後ろ足をフィン直上またはデッキパッド奥へピボット点を確保してからレールを傾ける
テイクオフ直後(フラットな波)ニュートラルポジション(肩幅・前足45度)ボードのトリムを安定させる

ショートボードではスタンス幅と前後位置を固定して乗ることが多いですが、ミッドレングスでは常に動的に変化させます。「どこに立てばいいか迷う」という感覚があれば、まずステップバックの練習から始めてみるのがおすすめです。

理由3:テイクオフ後に「何もしていない」

「テイクオフはできるのに上達している感じがしない」という状態の多くは、テイクオフ後に何もしていないことが原因のことがあります。ミッドレングスの浮力は「乗るまで」の難易度を大幅に下げてくれますが、「乗ってから何をするか」はむしろショートボードより意識が必要です。

ミッドレングスでよく見られるのは「テイクオフして、ボードが走るのを待ちながら、なんとなく岸まで走る」という状態です。ぼく自身も最初はそうでした。これはサーフィンというより「流されている」感覚に近い状態です。

テイクオフ後のプロセス(3ステップ)

  1. スタンスを確立する(0.5秒以内):着地と同時に前足45度・後足90度のニュートラルポジションを作ります。この一歩目が遅れると、その後の全ての動作が後手に回りやすくなります
  2. ボトムに向かう(1〜2秒):テイクオフ直後にボトムへ向かう意識を持ちます。「波の下に向かって落ちる」感覚です。この動作がボトムターンの起点になります
  3. レールを傾けてターンへ繋ぐ:ボトムに到達したらレールを傾け始めます。ショートボードのようにテールを蹴るのではなく、体重を波の方向に向けながらレールを水に沈めていきます

テイクオフが上手くなるほど「乗った後に何をするか」を考える余裕が生まれます。まずはテイクオフを繰り返して身体に染み込ませることが、その先への入口になります。

理由4:フィン設定を変えていない

ミッドレングスは「フィン種類によって全く別の乗り物になる」ボードです。この事実を知らずに乗り続けると、「なんとなく乗りにくい」まま年数だけが経過することがあります。

nanazero MID03を初めてツインフィンに替えたとき、「同じボードとは思えない」という感覚がありました。シングルフィンでは大きなレールで乗らないとフィンが抵抗になって曲がりにくかったのに、ツインにした瞬間、レール圧力を均等にかけるだけで推進力が上がり、ターンの半径が自由になりました。フィン設定は「好みの問題」ではなく「乗り方が変わる設計変更」なんだと気づいた体験でした。それ以来、ボードを買ったら必ずシングル・2+1・ツインの3パターンを試してから、自分の乗り方に合った設定を決めるようになりました。

フィン種類別の乗り方の違い

フィン種類求められる乗り方向いているサーファー
シングルフィン大きなレールで乗るトリムスタンス。ロングボード的な動作が必要ロングボーダーからの転向者、ノーズライドに興味がある人
2+1(シングル+サイドバイト)シングル寄りだが少しテール操作も可能。最も汎用性が高いミッドレングスの乗り方を習得中の人に最適
ツインフィンレール to レールの大きなライン。推進力が高くドライブが効くスピードを活かしたサーフィンがしたいショートボーダー転向者
スラスター(トライフィン)ショートボードに近い操作感。テール操作が入りやすいショートボードからの転向直後で、ショート的な動作に慣れた人

フィン選びの詳細はサーフボード フィンの選び方で解説していますが、まずは「今自分が使っているフィンで上手くいかないなら、別のフィン種類を試してみる」という発想を持つことが大切だと感じています。乗り方を変える前に、フィンを変えるだけで別のボードになる可能性があります。

理由5:サイズ(ボリューム)が合っていない

「大きければ大きいほど乗りやすい」というイメージでミッドレングスを選ぶと、逆に上達が止まることがあります。浮力が大きすぎると、レールを水に入れる(沈める)のに大きな体重と角度が必要になり、「ボードが動かない」という感覚が増します。

ミッドレングスの適正ボリュームはショートボードより5〜10L程度多めが目安です。体重55kgのぼくの場合、ショートボードの適正が22〜24L、ミッドレングスの実用値は28〜30L前後になります(詳細はサーフボードのボリューム早見表を参照)。これ以上になると、レールを傾けるために必要なエネルギーが大きくなりすぎて、軽やかに動きにくくなります。

「ちょっと小さめかな」と感じるサイズが、ミッドレングスではちょうどいいことが多い印象です。Almond Surfboardsも「mid-lengths are surfing’s cheat code, but only if you size correctly(ミッドレングスはサーフィンのチートコードだ、ただしサイズが正しければ)」と明言しています。

ミッドレングスの適正ボリューム目安

体重ショートボードの目安ミッドレングスの目安上限の目安
50kg前後20〜22L25〜28L35L以上は操作性低下
60kg前後24〜26L30〜34L40L以上は操作性低下
70kg前後28〜32L35〜40L48L以上は操作性低下
80kg前後32〜36L40〜46L55L以上は操作性低下

上達するための3つの実践ポイント

①「テールをやめる」を意識した1セッション

次のサーフィンセッションで一つだけ試してみてください。テールを一切踏まずに乗り続けることです。ターンのたびに「レールを傾ける」だけを意識します。最初は曲がれない感覚があるかもしれませんが、徐々にレール圧力のコントロールができてきます。この一日の体験が、ミッドレングスの乗り方を言葉よりも速く理解させてくれると思います。

②ステップバックを意識してターンに入る

ターンに入る前に必ず後ろ足をステップバックしてフィン直上に置いてから、レールを傾けます。この順番を守るだけで、ターンのコントロールが格段に上がります。「ターンしようとした瞬間にワイプアウト」が続いている場合は、ステップバックのタイミングが遅いか、そもそもしていない可能性があります。

③フィンを変えて同じ波に乗り直す

同じボードで2+1、ツイン、シングルの順で試してみてください。同じ波でも全く別の感覚になることを体験すると、「上達しない」が「設定の問題だった」と判明することが多いです。フィン変更は道具への投資の中でコストパフォーマンスが高い改善手段だと感じています。

よくある質問

ミッドレングスはショートボードより上達しにくいですか?

上達のしにくさは「乗り方の哲学が違う」ことへの慣れの問題だと思います。ショートボードからの転向者には「テールサーフィンからレールサーフィンへの切り替え」という壁があります。ただし、この壁を越えると「日本のビーチブレイクで最も汎用性が高い乗り物」になる印象です。上達しにくいのではなく、上達の方向性がショートボードと異なるというのが正確な表現かもしれません。

ミッドレングスはショートボードの練習になりますか?

乗り方の哲学が違うため、ミッドレングスの練習がショートボードのパフォーマンスに直接つながるわけではありません。ただし、波を読む力・テイクオフの安定性・ウォーターポジショニングはミッドレングスで効率的に上がります。ショートボードに戻った時に「余裕が生まれる」という体験をするサーファーが多い印象です。

ミッドレングスのおすすめのフィンセッティングは何ですか?

ミッドレングスの乗り方を習得中の段階では2+1(センターフィン+小さいサイドバイト)が最も汎用性が高いと感じています。ターン性能とトリム安定性のバランスがとれているため、レールサーフィンの感覚を習得しやすいです。シングルフィンはより高いスキルが必要で、ツインフィンはスピードが出やすいですが制御がより難しくなります。

何年乗ればミッドレングスに慣れますか?

「テールサーフィンからレールサーフィンへの切り替え」を意識して取り組めば、3〜6ヶ月で基本的な感覚はつかめると思います。ただし、意識しないまま乗り続けると何年経っても変わりにくいです。乗る時間より、乗り方の概念を理解した上で意識的に練習することが重要だと感じています。

ミッドレングスでターンができるようになるコツは?

ターンができない場合、最も多い原因は①ステップバックをしてからターンに入っていない②テールを踏もうとしている③フィンに体重が乗っていない、の3つだと思います。まず「ターン前に後ろ足をフィン直上へステップバック→レールを傾ける」という順番を身体に染み込ませる練習を繰り返してみてください。これだけでターン成功率が上がることが多いです。

ミッドレングスで上達するためにボードを替える必要はありますか?

乗り方の問題であることが多いので、まずボードは変えずに乗り方を変えることを先に試してみてください。ただし、ボリュームが大きすぎる(体重に対して+15L以上)場合はボードサイズの見直しを検討する価値があります。フィン変更(2+1→ツイン等)は乗り方を変えるよりも簡単に試せて効果が出やすいです。

まとめ:ミッドレングスで上達しない理由は「乗り方の哲学の違い」

ミッドレングスで上達しない5つの理由を振り返ります。

  1. ショートの乗り方を持ち込んでいる——テールサーフィンからレールサーフィンへの切り替えが最優先課題
  2. スタンスが固定されている——波の状況に合わせてステップバック・ステップフォワードを動的に行う
  3. テイクオフ後に何もしていない——ボトムに向かう意識を持ち、レールを傾けてターンに繋ぐプロセスを作る
  4. フィン設定を変えていない——シングル・2+1・ツインで乗り方が全く変わります。設定を試すだけで別のボードになります
  5. サイズが合っていない——浮力が大きすぎるとレールを入れられません。適正ボリュームは体重+5〜10L程度が目安です

ミッドレングスは「簡単なボード」ではなく「別の哲学を持ったボード」だと感じています。この認識の転換が、上達の入口になる印象です。次のセッションで一つだけ試してみるなら「テールを踏むのをやめて、レールだけで波に乗る」を試してみてください。

ミッドレングスの選び方から始めたい人はサーフボード完全ガイドで体重・レベル・波質別の基準を確認してください。具体的なボードのボリューム計算はサーフボードのボリューム早見表が使いやすいです。


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ヒガシーサー

ヒガシーサー

ブロガー/クリエイター/サーフボード開発/テストライダー

サーフィン歴20年、Beach Access・nanazeroのテストライダー、サーフボード・サーフスケート開発チーム。19年間も上達できなかったが、オーストラリアの科学的メソッドで上達。その経験を軸にブログ・SNSで一般サーファーのためのサーフィン上達方法、楽しみ方を共有している。SNS総フォロワー6.5万人。

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