トム・カレンとは?何がすごいのか、伝説のボトムターンと3度の世界王者

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この記事でわかること

  • トム・カレンの経歴と、初のアメリカ人世界王者としての実績
  • 「何がすごいのか」を4つの視点で整理
  • 伝説のボトムターンと、宮崎のカレンズポイント

トム・カレンは、初のアメリカ人世界王者にして、いまも語り継がれる伝説的なスタイリストです。とくにそのボトムターンは、多くのプロが敬意を表す「彼だけのもの」と評されてきました。わたし自身、若い頃に彼のサーフィンに強く惹かれた一人で、その存在はサーフィンの見方を教えてくれる原点になりました。その「すごさ」を、記録・ボトムターン・人物像・影響という4つの視点から整理しました。

トム・カレンとは?経歴と3度の世界タイトル

トム・カレン(本名トーマス・ローランド・カレン)は、1964年生まれ。アメリカ・カリフォルニアのサンタバーバラで育った、レギュラースタンスのサーファーです。父親は、大波サーフィンの草分けとして知られるパット・カレン。まさにサーフィン一家に生まれた選手でした。

世界タイトルは通算3回。1985年、1986年、1990年に獲得しています。特筆すべきは、彼が初のアメリカ人世界王者だったことです。それまで世界の頂点はオーストラリア勢が中心でしたが、その流れを変えました。ツアー通算優勝数も歴代でトップクラスで、記録の面でも一時代を築いた選手です。

ゲームのDVDで知った、みんなが尊敬する人

わたしがトム・カレンを深く好きになったのには、きっかけがあります。

若い頃、ケリー・スレーターのサーフィンゲームが大好きで、何度も遊んでいました。そのゲームに付いていたと記憶している映像に、ハワイのノースショアで、ケリー・スレーターやロブ・マチャド、ドノヴァン・フランケンレイター、シェーン・ドリアン、カラニ・ロブといった名選手たちが、一緒にサーフセッションをしながら過ごす場面がありました。その映像を、それこそ擦り切れるほど繰り返し見たものです。

そこで印象的だったのが、みんながトム・カレンを尊敬し、彼のボトムターンに敬意を表していたことでした。頂点に立つ選手たちが、口をそろえて一人のサーファーを称える。その光景を通じて、わたしもカレンのボトムターンに惹かれていきました。あわせて、彼の寡黙なところや、意外とお茶目な一面も、その映像から伝わってきて、すっかり好きになったのです。憧れの選手たちが憧れる選手。それがトム・カレンでした。

いま思えば、あの映像は、わたしにとってサーフィンの「価値観」を教えてくれるものでした。ただ派手に技を決める人がすごいのではない。誰よりも美しく、静かに、一つの動作を極める人が、本当に尊敬されている。子どもながらに、そのことが胸に残りました。トム・カレンという名前は、わたしの中で「かっこよさとは何か」を考える入り口になったのです。

トム・カレンのすごさは?4つの視点

「何がそんなにすごいのか」を、ここでは記録・ボトムターン・人物像・影響という4つの角度から順番に整理していきます。

1. 記録:初のアメリカ人世界王者

3度の世界タイトルは、それだけで一流の証です。しかし彼の場合、その中身に特別な意味があります。初のアメリカ人世界王者として、それまでオーストラリア勢が中心だった頂点の景色を塗り替えたからです。ツアーでの通算優勝数も歴代トップクラスで、単発の輝きではなく、長く勝ち続けた実力を持っていました。1980年代のサーフィンを象徴する存在です。しかも彼のすごさは、記録の数字だけで語れるものではありません。同じ3回の世界王者でも、「どう勝ったか」で記憶への残り方は変わります。カレンの場合、その勝ち方の美しさこそが、数字以上に人々の心に刻まれました。だからこそ、引退から長い年月が経ったいまも、彼の名は語り継がれているのです。

2. ボトムターン:彼だけの、伝説の一手

トム・カレンを語るうえで、絶対に外せないのがボトムターンです。波の下部で行うこの動作を、彼は他の誰とも違う、独特の間合いと美しさで操ったと評されます。二段階で踏み込む「ダブルパンプ」と呼ばれる動きの考案者ともされ、その滑らかさは、多くのプロが手本にしてきました。派手な技よりも、この一つのターンの完成度で人々を魅了した。ボトムターンは、次の動作へつなぐための、いわば「ため」の部分です。ここが美しく決まると、そのあとの動きすべてが生きてきます。地味に見えて、実はサーフィンの質を左右する最重要のポイント。カレンは、その事実を身をもって示しました。ボトムターンについては、ボトムターンの徹底解説でも基本を掘り下げています。

3. 人物像:寡黙さと、意外なお茶目さ

トム・カレンは、寡黙で内向的な性格でも知られています。派手に自己主張するタイプではなく、サーフィンそのもので語る選手でした。その一方で、後年はフリーサーフィンを楽しみ、ギターを手に音楽活動もするなど、意外と自由でお茶目な一面も持っています。強さと静けさ、そしてユーモア。この多面性が、彼を単なる名選手以上の、人間味あふれる存在にしています。派手に語らないからこそ、サーフィンそのものに説得力が宿る。言葉ではなく、一本の波で自分を表現する。そんな姿勢が、静かに多くの人の心をつかんできました。強さを声高に主張しない選手が、これほど長く敬われているという事実そのものが、彼の人柄を物語っています。

4. 影響:スタイリストたちの原点

彼のすごさは、成績だけにとどまりません。トム・カレンの滑らかで美しいスタイルは、その後の多くのサーファーの原点になりました。力で押すのではなく、流れの美しさで魅せる。ロブ・マチャドをはじめ、いまも愛される「スタイル系」のサーファーたちは、どこかで彼の影響を受けています。憧れの選手たちが憧れる選手として、サーフィンの美意識そのものを一段引き上げた人物です。「上手い」の基準は、時代とともに変わっていきます。より高く飛ぶ、より激しく攻める。そうした流れのなかでも、カレンが示した「流れるような美しさ」という価値は、色あせずに受け継がれてきました。技の難易度だけでは測れない魅力があることを、彼は教えてくれます。

使用ボードと、宮崎のカレンズポイント

トム・カレンのボードは、名門シェイパーのアル・メリック(チャンネルアイランド)が長年手がけてきたことで知られています。彼が乗った「ブラックビューティー」と呼ばれるボードは、世界タイトル期を象徴する一本として語り継がれています。もちろん、トップ選手の一本をそのまま真似る必要はありません。自分に合うボードの選び方は、サーフボード完全ガイドで体重・レベル・波質別に整理しています。

日本との縁も深い選手です。宮崎には、彼の名にちなんだ「カレンズポイント」と呼ばれるサーフスポットがあります。台風スウェルでの伝説的なセッションに由来すると言われており、日本のサーファーにとっても、トム・カレンは特別な存在です。海外のレジェンドの足跡が、日本の海辺に名前として残っている。それだけでも、彼の影響の大きさがうかがえます。日本のサーフィン文化が育っていく過程で、彼のような世界のトップが残した記憶は、確かな栄養になってきました。名前を冠したポイントは、その象徴のひとつです。

週末サーファーにとっての意味

トム・カレンのボトムターンを、そのまま再現するのは簡単ではありません。それでも、彼のサーフィンから受け取れるものはあります。

いちばんは、「一つの基本を、とことん磨く価値」です。彼は、派手な新技よりも、ボトムターンという基本の動作を、誰よりも美しく仕上げました。週末サーファーにとっても、あれこれ手を広げるより、まず一つの動きをていねいに磨くほうが、遠回りに見えて上達は早いものです。基本の質こそが、スタイルの土台になります。

もうひとつは、力ではなく流れで乗るという考え方です。彼の滑らかさは、力むこととは正反対のところにあります。力めば力むほど乗れなくなる、というのは誰もがはまる落とし穴です。頂点の選手が「美しさ」で人々を魅了してきた事実は、その悩みへの静かなヒントになります。波を読む力を伸ばしたい方は、波質の判断と海況の読み方もあわせて読んでみてください。

トム・カレンを一言でいうと

初のアメリカ人世界王者にして、伝説のボトムターンを持つスタイリストの原点。寡黙さとお茶目さを併せ持ち、憧れの選手たちからも憧れられた、サーフィンの美意識を象徴する存在です。

よくある質問

トム・カレンは世界チャンピオンに何回なりましたか?

通算3回です。1985・1986・1990年に世界タイトルを獲得しました。初のアメリカ人世界王者として知られ、ツアー通算優勝数も歴代トップクラスを誇ります。

トム・カレンのボトムターンは何がすごいのですか?

波の下部で行うボトムターンを、独特の間合いと美しさで操ったと評されます。二段階で踏み込む「ダブルパンプ」の考案者ともされ、その滑らかさは多くのプロが手本にしてきました。基本の動作の完成度で人々を魅了した選手で、いまも多くのスタイリストがその影響を受けています。

宮崎のカレンズポイントとは何ですか?

宮崎にある、トム・カレンの名にちなんで呼ばれるサーフスポットです。台風スウェルでの伝説的なセッションに由来すると言われており、海外のレジェンドと日本の海との、思いがけない縁の深さを物語っています。

トム・カレンの使っていたサーフボードは?

名門シェイパーのアル・メリック(チャンネルアイランド)のボードを長年使ってきました。世界タイトル期を象徴する「ブラックビューティー」と呼ばれるボードが有名で、いまも語り草になっている一本です。

トム・カレンのすごさは何ですか?

初のアメリカ人世界王者という記録、彼だけのものと評される伝説のボトムターン、寡黙さとお茶目さを併せ持つ人物像、そしてスタイル系サーファーの原点となった影響力。この4つが重なっています。

まとめ

トム・カレンのすごさは、初のアメリカ人世界王者という記録と、他の誰とも違う伝説のボトムターンにあります。派手な技ではなく、一つの動作を極限まで磨いた美しさで、憧れの選手たちからも憧れられました。宮崎にその名を冠したポイントがあるほど、日本にも深い足跡を残しています。時代が変わっても色あせない、本物の美しさを持った選手です。

「基本をとことん磨く」「力ではなく流れで乗る」。彼のサーフィンが教えてくれるこの二つは、競技を追わない週末サーファーにも、まっすぐ届きます。サーフィンのレジェンドの生き方にもっと触れたい方は、ケリー・スレーターの自伝レビューも読み物として面白いです。憧れの選手を入り口に、自分のサーフィンの次の一歩を、あらためて考えてみてください。

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ヒガシーサー

ヒガシーサー

ブロガー/クリエイター/サーフボード開発/テストライダー

サーフィン歴20年、Beach Access・nanazeroのテストライダー、サーフボード・サーフスケート開発チーム。19年間も上達できなかったが、オーストラリアの科学的メソッドで上達。その経験を軸にブログ・SNSで一般サーファーのためのサーフィン上達方法、楽しみ方を共有している。SNS総フォロワー6.5万人。

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