この記事でわかること
- ロブ・マチャドが何者か(経歴・実績・スタイルの位置づけ)
- 使用ボードとフィン(Firewire/Rob Machado Surfboardsの代表モデル)
- あの「脱力スタイル」の正体と、週末サーファーが真似できる順番
ロブ・マチャドは、力技よりも流れるようなスタイルで知られる、アメリカのプロフリーサーファーです。1990年代の「モーメンタム世代」を代表する一人で、ニックネームは「Mr. Smoothy」。わたしがサーフィンを始めた頃、一番ビデオを止めて真似したのが、彼のあの軽やかな乗り方でした。
この記事では、ロブ・マチャドの基本と使用ボードを整理したうえで、多くの人が憧れる「脱力スタイル」を、20年憧れて実際に真似してきた立場から、できるだけ正直にひも解いていきます。
目次
ロブ・マチャドとは?経歴とスタイルの位置づけ
ロブ・マチャドは、1973年生まれ、アメリカ・カリフォルニア州カーディフを拠点とするグーフィースタンスのプロサーファーです。1993年から2001年ごろまで世界最高峰のツアー(CT)で戦い、その後はフリーサーファーへと軸足を移しました。
キャリアハイは1995年の世界ランキング2位。2011年にはサーフィンの殿堂入りも果たしています。競技の勝敗以上に、その滑らかなサーフィンとカリスマ性で人気を集めた選手です。
そして彼を語るうえで外せないのが「モーメンタム世代」です。1990年代前半、テイラー・スティール監督の映像に登場した若手サーファー集団のことで、ケリー・スレーターやシェーン・ドリアンらもここに含まれます。2018年にはこの世代を描いたドキュメンタリー『Momentum Generation』も公開されました。わたしの世代のサーファーは、多かれ少なかれこの世代の影響を受けています。
トレードマークは、ひと目で本人とわかるカーリーヘア。そして「力で押さえ込むより、波の流れに乗る」タイプの代表格として評価されてきました。
ロブ・マチャドの使用ボードとフィンは?
結論から言うと、現在のロブ・マチャドのボードは大きく2つの経路があります。工場生産の「Firewire(ファイヤーワイヤー)」と、本人のカスタムレーベル「Rob Machado Surfboards」です。店頭やネットで手に入るのは、主にFirewire版です。
Firewireでの代表モデルを整理すると、次のようになります。
| モデル | 特徴 |
|---|---|
| Go Fish | 2017年発表。小波向けのフィッシュ。軽量なHelium構造 |
| Seaside | 小〜中波向けの人気フィッシュ。専用クアッド設定 |
| Too Fish | Go Fishの進化版。フラット寄りのコンディション向け |
| Seaside & Beyond | Seasideを大型化したミッドレングス寄りの派生 |
日本語でよく検索される「シーサイド」は、このFirewire Seasideのことです。「ツインスタビ」「キールフィン」という言葉も、Seasideのフィン構成に由来します。
Seaside専用フィンには、本人シグネチャーの「Rob Machado Seaside Quad」があります。これは伝統的なツイン(キール)フィッシュの流れるような感覚を出発点に、後ろへ小さなスタビライザーを足してクアッド化したもの。FCS II版とFutures互換版の両方が流通しています。キールの流れと、クアッドのコントロールを両立させようという発想です。
Seasideをそのまま大きくした「Seaside & Beyond」という、ミッドレングス寄りのモデルもあります。全体として、ロブ・マチャドの手持ちのボードは、小さめの波を軽やかに楽しむフィッシュ系が中心です。
尖ったショートボードで攻めるより、少ない力でスピードに乗れる形を選んでいる。この道具選びそのものが、彼のスタイルと地続きだと感じます。力を抜いて乗るスタイルには、力を抜いても走る道具が要る、ということだと思います。
ミッドレングスやツインの乗り味に興味があれば、ミッドレングス×ツインでリラックスして乗れるボードのレビューもあわせて参考にしてみてください。
なぜロブ・マチャドの波乗りは軽やかで美しいのか
結論を先に言うと、あの美しさの正体は「力を抜く順番」にあります。生まれ持った才能というより、力の入れどころと抜きどころが整理されている、というのがわたしの見方です。
若い頃のわたしは、彼のビデオを何度も止めては巻き戻して、動きを真似しようとしました。でも自分がやると、なぜか別物になる。当時は「体格の違いかな」くらいにしか思っていませんでした。
見え方が変わったのは、実際に同じ海に入ったときです。バリ島のヌサドゥアで、たまたま同じ時間帯にミック・ファニングがいたことがありました。近くで見て打ちのめされたのは、技の派手さより「力の入れどころが自分と全然違う」という一点でした。常に全力な自分と、必要な一瞬だけ力を通す彼らと。同じ波の上で、そこがはっきり見えたのです。
力を抜く順番、というのは抽象的に聞こえるかもしれません。わたしなりに言い換えると、ボードが走り出すまでは力を抜いて待ち、ターンで踏み込む一瞬だけ力を通す、という配分のことです。
上手い人ほど、この「抜いている時間」が長いように見えます。だから動きが途切れず、流れているように見えるのだと思います。逆に力み続けていると、一つひとつの動作がぶつ切りになり、板のスピードも殺してしまう。わたしが長いあいだ抜け出せなかったのが、まさにこの状態でした。
力むとボードが走らない、という現実
力めば力むほど乗れなくなる。これは多くの週末サーファーが感じている現実だと思います。わたし自身がそうでした。
パドリングで腕ばかり使っていた時期が、10年以上続きました。
体は疲れるのに、波には乗れない。
原因がずっとわからないまま、力で解決しようとしていました。
力で押さえ込もうとする癖は、思わぬ形で痛い目にもなりました。
20歳の頃、バリ島のスランガンというポイントで、崩れてきたセットの波を食らったことがあります。そのとき、とっさにボードを強く掴んでしまい、肩を脱臼しました。力で耐えようとした結果でした。
その後もパドリングのたびに肩がずれるようになり、庇っているうちに反対の肩まで痛めてしまいました。力むことのコストを、体で払わされた15年でした。だからこそ、力を抜くことの意味が身にしみています。
変わったきっかけは、コレクトサーフ(サーフィンのオンラインスクール)で体幹主導という考え方を学んだことです。手足で頑張るのではなく、体の中心から動く。これを意識してから、肩や肘の痛みが消え、力を抜いたほうがむしろ動けることが体感でわかってきました。上体が固まっていると、板からの反応も受け取りにくい。逆に中心にゆとりがあると、足裏の情報がそのまま板に伝わる感覚があります。
ここだけ覚えておくと変わること
脱力は「手を抜く」ことではありません。全身をずっと力ませる代わりに、体の中心から動いて、必要な一瞬だけ力を通す。この順番を入れ替えるだけで、同じ体力でも乗れる波が変わってきます。
真似するときにわたしが意識した3つのこと
ロブ・マチャドや、同じく脱力系の代表格であるジョエル・パーキンソン(オーストラリアのトップ選手・通称パーコ)を真似するとき、わたしが意識したのは次の3つです。「脱力の3要素」のような法則ではなく、あくまで自分が手がかりにしてきたことです。
- 視線を先に置く:行きたい方向を先に見る。目線が落ちると上体も落ちて、動きが固くなります。
- 肩の力を抜く:肩が上がると腕で操作しようとしてしまう。まず肩を落とすことを最初のスイッチにしています。
- 下半身から動く:手で板を押さえるのではなく、足裏と体の中心でボードを傾ける。上半身はついてくるだけ、という順番です。
35歳まではショートボードしか乗らなかったわたしが、ミッドレングスやフィッシュでこの感覚をつかみやすかったのは、ボードの浮力に少し助けてもらえたからだと思います。焦らず板に乗っていられる時間が長いほど、力を抜く練習がしやすくなります。
自分のレベルや波質に合う一本の選び方は、サーフボード完全ガイドで体重・レベル・波質別に整理しています。
週末サーファーが今日から試せる順番
先ほどの3つを、そのまま練習の順番に落とすと次のようになります。いきなり全部ではなく、上から一つずつでかまいません。
- 視線:テイクオフした瞬間、足元ではなく進みたい方向を見る。これだけでターンのきっかけがつかみやすくなります。
- 肩:波待ちのあいだに一度、肩をストンと落とす癖をつける。力んでいる自分に気づけるようになります。
- 下半身:小さい波でいいので、手ではなく足でボードを傾ける感覚だけを試す日を作る。うまく乗ろうとしないのがコツです。
スタイルは、上手くなった先に自然とついてくるものだと思っていました。でも実際は、力を抜く練習を意識的にした人から順に、動きが軽くなっていきます。ミッドレングスでなかなか上達しないと感じている場合は、ミッドレングスで上達しない理由をまとめた記事も合わせて読んでみてください。
よくある質問
ロブ・マチャドはどんなボードを使っていますか?
主にFirewireと、本人のカスタムレーベルRob Machado Surfboardsのボードを使っています。代表モデルはGo Fish、Seaside、Too Fishなど。小〜中波で楽しむフィッシュ系が中心です。
シーサイドのフィンはツインですか、クアッドですか?
Seasideの純正は「Rob Machado Seaside Quad」というクアッド設定です。ツイン(キール)の流れる感覚を出発点に、小さなスタビライザーを足してクアッド化したもので、FCS II版とFutures互換版があります。
ロブ・マチャドは今は何をしていますか?
競技の第一線は退きましたが、フリーサーファー兼ボードデザイナーとして現役です。2004年に設立した「Rob Machado Foundation」で、ビーチクリーンや使い捨てボトル削減などの環境活動にも取り組んでいます。
スタイルは後からでも良くなりますか?
良くなると考えています。わたし自身、力の抜き方を意識してから動きが変わりました。スタイルは才能というより、力を抜く順番を練習した結果として表れてくるものだと感じています。
脱力とは、力を抜いてダラっと乗ることですか?
違います。脱力は「常に力ませない」ことであって、「力を使わない」ことではありません。体の中心から動き、必要な一瞬だけ力を通す。ずっと全力の状態から、この配分に切り替えることが脱力です。
まとめ
ロブ・マチャドの軽やかさは、特別な才能というより「力を抜く順番」の積み重ねだというのが、20年憧れて真似してきたわたしの結論です。
視線・肩・下半身。この3つを一つずつ、小さい波で試すところから始めてみてください。うまく乗ろうとせず、力を抜く練習だと思って取り組むほど、動きは軽くなっていきます。
焦って上手くなろうとするほど、力は抜けません。まずは一回の海で一つ、肩の力を抜くことだけを意識する。そのくらいの気軽さで続けるのが、遠回りに見えて近道だと、20年やってきて感じています。
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