ひとりでサーフィンを練習するとき、気づいてから変わったことが3つあります。①陸練を「メイン練習」に格上げする②海での集中ポイントを1つに絞る③フィードバックを自分で設計する——この順番で練習を組み立てると、仲間やスクールなしでも着実に動作が改善されます。
この記事でわかること
- 「海に行くだけ」では上達しにくい構造的な理由(年間実質ライディング時間の計算)
- 陸練をメイン練習にする具体的な設計(サーフスケート×自宅ポップアップ)
- 海での一人セッションを「集中練習」に変える3ポイント
- 仲間がいなくてもフィードバックを得る仕組み
- 上達を実感するためのマイルストーンの作り方
10年以上、パドルをするとき腕の力だけで漕いでいました。右肩が繰り返し亜脱臼するほど力を入れていたのに、なぜ痛くなるのか長い間わかりませんでした。同じポイントで同じように練習し続けていたのですが、「何が悪いのか」を教えてくれる人がいなかった。コレクトサーフで体幹主導のパドリングを初めて教わったとき、「ひとり練習だけではこれには気づけなかった」と感じました。フィードバックなしに繰り返すと間違いが強化されることに気づいたのは、その後のことです。同じ動きを繰り返しても変わらなかった時期が、私にも長くありました。
この記事では、ひとりで練習しながら上達し続けるために必要な「練習の設計」を整理します。サーフボード完全ガイドでも書いているのですが、上達の速さはボードの品質よりも練習の質で決まると感じています。一人でも、それは変わりません。
目次
ひとりで練習するとき、何が一番難しいか
SNS経由で1,000人以上のサーフィンの悩みを聞いてきた中で、「ひとりでの練習が続かない・伸びない」という相談は最も多くいただくテーマのひとつです。悩みのパターンは大体3つに分かれます。
パターン別の「詰まりポイント」
| タイプ | 状況 | 本当の問題 |
|---|---|---|
| タイプA(時間・仲間の問題) | 家族・仕事でサーフ仲間と日程が合わない。一人で海に行くしかない | モチベーション維持と「正しい練習の方向性」がない |
| タイプB(スランプ型) | テイクオフはできるが、その先が何年も変わらない | フィードバックがないため何が問題かわからない |
| タイプC(陸練模索型) | 海に行けない日に何かしたいが、何が効くか分からない | 陸練の優先順位と具体的な方法が不明 |
3タイプに共通しているのは「正しい練習をしているかどうかが確認できない」という点でした、私自身も含めて。仲間がいれば「今の動作ちょっとおかしかったで」とすぐ指摘がもらえます。一人ではその回路が全くない。これが「ひとり練習の構造的な弱点」だと感じています。
なぜ「海に行くだけ」では上達しないのか
週末サーファーが1年間で実際にサーフィンしている時間を計算してみます。
- 年間サーフィン日数: 週1回 × 50週 = 50日(台風・悪天候・家族都合でさらに減ります)
- 1回の海入り時間: 平均90分
- その内、実際に波に乗っている時間: 全体の約2〜3%(パドルアウト・波待ちを除いた時間)
- 計算: 90分 × 50日 × 0.025 = **約112分 ≒ 年間1時間52分**
1年間サーフィンを続けても、実際に「ライディングで動作練習をしている時間」は2時間足らずです。この少ない時間に間違った動作を繰り返すと、上達ではなく「誤りの定着」が起きます。一人練習で停滞しやすい根本原因はここにあると思います。
逆に言えば、陸での正しい反復練習に時間を使えば、この「2時間」を補えます。サーフスケートでのポップアップ練習1時間は、海での反復量換算で数十倍以上になります——動作の反復回数という意味で。
ステップ1:陸練を「メイン練習」として設計する
ひとり練習で最初にやってみたい発想の転換は「海が本番で陸練は補助」から「陸練がメインで海は確認」への切り替えです。
サーフスケートを陸練の中心に置く理由
サーフスケートがひとり練習に向いているのは「何度でも同じ動作を繰り返せる」からです。海では1本の波に乗れても、その後20分間波を待つ可能性があります。サーフスケートはその待ち時間ゼロで連続反復ができます。
YouTubeでサーフスケートの動画を発信していた頃、週3〜4回サーフスケートに乗る時期がありました。その期間のサーフセッションで、アップスダウンとボトムターンのエントリー動作が明らかに変わっていました。「陸での反復が海で使える」という確信が生まれたのはそこからです。テイクオフの動作を100回繰り返してから海に入ると、意識しなくても動作が安定していました。「練習してきた」という事実が、入水時の集中を変えてくれました。
サーフスケートで練習できる動作
| 動作 | サーフスケートでの練習方法 | 海への接続 |
|---|---|---|
| テイクオフ(ポップアップ) | デッキに伏せた状態から繰り返し立ち上がる。アゴの位置・胸の反り・前を向くことを同時確認 | テイクオフ後のニュートラルポジションが安定します |
| アップスダウン | スケートリンクや平坦な路面で波のリズムを再現。膝の屈伸でスピードを生む感覚を身体に入れる | 波のパワーゾーンで失速しにくくなります |
| ボトムターンのエントリー | ボトムに向かう重心移動を繰り返す。テールを使わずにレールで曲がる感覚の強化 | テイクオフ後すぐにボトムターンへ繋げやすくなります |
具体的な練習メニューはサーフスケートでテイクオフを練習する方法とアップスダウンをサーフスケートで練習する方法に詳しく書いています。まずどのサーフスケートを選べばいいか迷っている場合はサーフスケート おすすめ5選を参照してみてください。
自宅15分のポップアップ反復
サーフスケートがない日・外に出られない日は、ヨガマット1枚でポップアップ練習ができます。1日5〜10回の「正確な動作」の方が、100回の雑な反復より価値が高いと感じています。確認ポイントは3つです:①アゴを引いて前を向いているか②胸が反っているか③立ち上がった後にニュートラルポジションが作れているか。
詳しい陸トレメニューはサーフィン陸トレメニュー完全ガイドで整理しています。ひとり練習の補完として活用してみてください。
ステップ2:海での一人セッションを「集中練習」にする
海に入るたびに「今日は何を練習するか」を1つだけ決めてから入水します。これだけでひとりセッションの質が変わります。「なんとなく波に乗る」と「テイクオフ後の最初の一歩だけを意識する」では、同じ時間でも動作の改善速度がかなり違ってきます。
一人セッションの集中ポイント(3つ)
- 白波エリアでの反復テイクオフ:沖まで行かず、白波の端で20本以上テイクオフを繰り返します。波のサイズや状況を気にせず、動作の確認だけに集中できます。初〜中級者がひとりでできる、私が一番続けやすいと感じた練習方法です
- 波待ちを「観察の時間」にする:波を待つ間、上手いサーファーのテイクオフを観察します。「どのタイミングでパドルを始めたか」「波のどの位置に入ったか」を分析する時間にします。以前は波を待つ20〜30分が手持ち無沙汰で、スマホを取り出すこともありました。観察を「課題」にしてからは、その時間が動作研究の時間に変わりました。あるとき、上手いサーファーが膝波でも必ずパワーゾーンで波を捕まえていることに気づき、自分がいかにショルダー側から乗っていたかがわかりました。「見るだけ」と「分析して見る」はまったく別の練習になります
- 動画撮影の評価軸を決める:GoProやアクションカメラを岸に固定して撮影する場合、「なんとなく撮る」のではなく確認項目を事前に1つ決めます。テイクオフ時のアゴの位置だけ、ポップアップ後の肘の高さだけ、というように絞ることで映像確認が具体的になります
ステップ3:フィードバックを自分で設計する
ひとり練習で長い間わからなかったのが「自分の動作の何が間違っているか」でした。これを解決するのがフィードバックループの設計です。仲間がいなくても、3つの方法でフィードバックを得られます。
①コレクトサーフ(オンライン活用)
コレクトサーフは動画を送ると専門コーチが動作を評価してくれるオンライン動画添削スクールです。「何が問題かわからない」という状態が、ここで初めて解消されたという声を多くいただきます。SNSで1,000人以上の悩みを聞いてきた中でも、フィードバックの入り口として名前が挙がることが非常に多いサービスです。
②動画の「評価軸」を作る
撮った映像を「ただ見返す」のではなく、チェックリストと照合します。確認ポイントの例:
- テイクオフ時にアゴが引けているか(前を見ているか)
- ポップアップ直後に重心が前足に乗っているか
- ニュートラルポジションで両肘が適切な高さにあるか
- テイクオフ後にボトムに向かう動作が入っているか
評価軸なしで映像を見ても「なんとなく変な感じ」で終わりがちです。軸があると「3本中2本でアゴが下がっている」という具体的な発見になります。ボトムターンの改善を目指すなら、テイクオフ後にボトムへ向かう動作が入っているかを1点だけ確認する、という使い方が私には向いていました。
③マイルストーンで上達を「見える化」する
フィードバックの少ない環境では、上達の実感を自分で作る仕組みがあると続けやすいです。「今月は白波で50本テイクオフする」「この動作ができたら次の課題に進む」という具体的な数値目標を持つことで、停滞感が大幅に減る人が多いと感じます。サーフスケートなら「10時間で横走りができる」「50時間で基本動作が安定する」という目安を目標として使うことができます。
ひとり練習でよくある間違い3つ
- 毎回「なんとなく乗る」だけで終わる:課題なしでセッションすると、何年同じことを繰り返しても動作が変わりにくいです。1セッション1課題を意識してみてください
- 陸練をサボって海の回数だけ増やそうとする:年間2時間足らずのライディング時間を増やすより、陸練で反復量を増やす方が動作改善は早い傾向があります。海に行く回数より陸練の質を先に上げることをおすすめします
- 間違った動作を「正確に」反復する:間違いを正確に繰り返すほど、誤動作が定着しやすくなります。「何が正しいか」を先に確認してから反復を始めることが大切です。そのためにコレクトサーフや動画確認が役立ちます
よくある質問
サーフィンはひとりで練習していても上達しますか?
上達するかどうかはひとりかどうかより「正しい練習をしているか」で決まると感じています。フィードバックループを設計し、陸練で動作を繰り返し、海では1つの課題に集中する——この設計ができれば、仲間がいなくても着実に動作は改善されます。ただし、間違ったフォームを一人で繰り返すと誤動作が定着しやすくなる点は、私自身が経験したことでもあります。
サーフスケートはひとり練習に本当に効果がありますか?
私の場合、効果がありました。特に「動作の反復回数」という点では海のサーフィンより効率が高いと思います。波待ちの時間ゼロで、テイクオフ・アップスダウン・ボトムターンエントリーの動作を何十回でも繰り返せます。ただし「正しい動作を反復すること」が前提です。間違ったフォームのままだと、逆効果になる可能性があります。
ひとりで海に入るのは危ないですか?
状況によります。白波エリアでの練習(浅い・穏やか・他のサーファーが多い)なら一人でも安全に練習しやすいです。沖のラインアップ、波が大きい日、人が少ない場所では、一人での入水リスクが上がります。ひとり練習の初期は、人が多い穏やかなビーチブレイクの白波エリアに限定することをおすすめします。
週1回の練習で上達できますか?
週1回の海入りだけでは動作習得は遅くなりがちです——ただし、週1回の海入りに加えて週3〜4回のサーフスケートや自宅陸練を組み合わせると話が変わります。海入りの頻度より「動作の反復総量」が上達速度を左右します。週1回でも陸練を設計すると、週3回海に入るが陸練なしの人より早く動作が安定することがあります。
動画撮影はどうすればひとりでできますか?
岸に固定したアクションカメラ(GoProやDJI Osmo Actionシリーズ)が最もシンプルです。砂浜に三脚を立てて広角で撮影するか、ライフガードタワーや看板などに固定する方法があります。重要なのは「どの動作を確認するか」を先に決めてから撮影することです。なんとなく撮ってなんとなく見ても、発見が少なくなりがちです。
サーフスクールとひとり練習はどう組み合わせればいいですか?
スクールでフォームの問題点を指摘してもらい、その後のひとり練習でその1点を繰り返す——という組み合わせが効率よく感じています。スクールは「何が間違っているかを教えてもらう場」として使い、反復はひとりでやります。毎回スクールに通う必要はなく、3〜6ヶ月に1度、フィードバックを受ける機会として使う方法もあります。
まとめ:ひとり練習で上達し続けるための3ステップ
- 陸練をメイン練習にする——海での年間ライディング時間は2時間足らずです。サーフスケートや自宅ポップアップで反復量を補います
- 海では1セッション1課題——課題なしで波に乗り続けても動作が変わりにくいです。白波エリアでの反復と観察を組み合わせます
- フィードバックを自分で設計する——動画の評価軸を決め、マイルストーンを設定し、定期的にコレクトサーフなどでフォームを確認する仕組みを作ります
一人だと停滞しやすいのはサーフィンの難しさではなく、練習設計の問題だと感じています。設計さえ変われば、海に入る回数が同じでも動作の変化速度は全く違ってきます。
どのサーフスケートを使えばいいか迷っているならサーフスケート おすすめ5選を、陸トレの具体的なメニューが知りたいならサーフィン陸トレメニュー完全ガイドを参照してみてください。
