サーフィン ひとり練習 上達法|週末サーファーが20年で気づいた「正しい練習の設計」

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nanazeroサーフスケート

ひとりでサーフィンを練習するとき、上達を速くするポイントは3つだ。①陸練を「メイン練習」に格上げする②海での集中ポイントを1つに絞る③フィードバックを自分で設計する——この順番で練習を組み立てると、仲間やスクールなしでも着実に動作が改善される。

この記事でわかること

  • 「海に行くだけ」では上達しない構造的な理由(年間実質ライディング時間の計算)
  • 陸練をメイン練習にする具体的な設計(サーフスケート×自宅ポップアップ)
  • 海での一人セッションを「集中練習」に変える3ポイント
  • 仲間がいなくてもフィードバックを得る仕組み
  • 上達を実感するためのマイルストーンの作り方

10年以上、パドルをするとき腕の力だけで漕いでいた。右肩が繰り返し亜脱臼するほど力を入れていたのに、なぜ痛くなるのか長い間わからなかった。同じポイントで同じように練習し続けていたが、「何が悪いのか」を教えてくれる人がいなかった。コレクトサーフで体幹主導のパドリングを初めて教わったとき、「ひとり練習だけではこれには気づけなかった」と感じた。一人での練習が無意味なのではなく、フィードバックなしに繰り返すと間違いが強化されるという問題に気づいたのはその後のことだ。

この記事では、ひとりで練習しながら上達し続けるために必要な「練習の設計」を整理する。サーフボード完全ガイドでも書いているが、上達の速さはボードの品質よりも練習の質で決まる。一人でも、それは変わらない。

ひとりで練習するとき、何が一番難しいか

SNS経由で1,000人以上のサーフィンの悩みを聞いてきた中で、「ひとりでの練習が続かない・伸びない」という相談は最も多いテーマのひとつだ。悩みのパターンは大体3つに分かれる。

パターン別の「詰まりポイント」

タイプ状況本当の問題
タイプA(時間・仲間の問題)家族・仕事でサーフ仲間と日程が合わない。一人で海に行くしかないモチベーション維持と「正しい練習の方向性」がない
タイプB(スランプ型)テイクオフはできるが、その先が何年も変わらないフィードバックがないため何が問題かわからない
タイプC(陸練模索型)海に行けない日に何かしたいが、何が効くか分からない陸練の優先順位と具体的な方法が不明

3タイプに共通しているのは「正しい練習をしているかどうかが確認できない」という問題だ。仲間がいれば「今の動作ちょっとおかしかったで」とすぐ指摘がもらえる。一人ではその回路が全くない。これが「ひとり練習の構造的な弱点」だ。

なぜ「海に行くだけ」では上達しないのか

週末サーファーが1年間で実際にサーフィンしている時間を計算してみる。

  • 年間サーフィン日数: 週1回 × 50週 = 50日(台風・悪天候・家族都合でさらに減る)
  • 1回の海入り時間: 平均90分
  • その内、実際に波に乗っている時間: 全体の約2〜3%(パドルアウト・波待ちを除いた時間)
  • 計算: 90分 × 50日 × 0.025 = **約112分 ≒ 年間1時間52分**

1年間サーフィンを続けても、実際に「ライディングで動作練習をしている時間」は2時間足らずだ。この少ない時間に間違った動作を繰り返せば、上達ではなく「誤りの定着」が起きる。一人練習で停滞する根本原因はここにある。

逆に言えば、陸での正しい反復練習に時間を使えば、この「2時間」を補える。サーフスケートでのポップアップ練習1時間は、海での反復量換算で数十倍以上になる——動作の反復回数という意味で。

ステップ1:陸練を「メイン練習」として設計する

ひとり練習で最初にやるべき発想の転換は「海が本番で陸練は補助」から「陸練がメインで海は確認」への切り替えだ。

サーフスケートを陸練の中心に置く理由

サーフスケートがひとり練習に有効なのは「何度でも同じ動作を繰り返せる」からだ。海では1本の波に乗れても、その後20分間波を待つ可能性がある。サーフスケートはその待ち時間ゼロで連続反復ができる。

YouTubeでサーフスケートの動画を発信していた頃、週3〜4回サーフスケートに乗る時期があった。その期間のサーフセッションで、アップスダウンとボトムターンのエントリー動作が明らかに変わっていた。「陸での反復が海で使える」という確信が生まれたのはそこからだ。テイクオフの動作を100回繰り返してから海に入ると、意識しなくても動作が安定していた。「練習してきた」という事実が、入水時の集中を変えた。

サーフスケートで練習できる動作

動作サーフスケートでの練習方法海への接続
テイクオフ(ポップアップ)デッキに伏せた状態から繰り返し立ち上がる。アゴの位置・胸の反り・前を向くことを同時確認テイクオフ後のニュートラルポジションが安定する
アップスダウンスケートリンクや平坦な路面で波のリズムを再現。膝の屈伸でスピードを生む感覚を身体に入れる波のパワーゾーンで失速しなくなる
ボトムターンのエントリーボトムに向かう重心移動を繰り返す。テールを使わずにレールで曲がる感覚の強化テイクオフ後すぐにボトムターンへ繋げられる

具体的な練習メニューはサーフスケートでテイクオフを練習する方法アップスダウンをサーフスケートで練習する方法に詳しく書いている。まずどのサーフスケートを選べばいいか分からない場合はサーフスケート おすすめ5選を参照してほしい。

自宅15分のポップアップ反復

サーフスケートがない日・外に出られない日は、ヨガマット1枚でポップアップ練習ができる。1日5〜10回の「正確な動作」の方が、100回の雑な反復より価値が高い。確認ポイントは3つだ:①アゴを引いて前を向いているか②胸が反っているか③立ち上がった後にニュートラルポジションが作れているか。

詳しい陸トレメニューはサーフィン陸トレメニュー完全ガイドで整理している。ひとり練習の補完として活用してほしい。

ステップ2:海での一人セッションを「集中練習」にする

海に入るたびに「今日は何を練習するか」を1つだけ決めてから入水する。これだけでひとりセッションの質が変わる。「なんとなく波に乗る」と「テイクオフ後の最初の一歩だけを意識する」では、同じ時間でも動作の改善速度が全く違う。

一人セッションの集中ポイント(3つ)

  1. 白波エリアでの反復テイクオフ:沖まで行かず、白波の端で20本以上テイクオフを繰り返す。波のサイズや状況を気にせず、動作の確認だけに集中できる。初〜中級者がひとりでできる最も効果的な練習だ
  2. 波待ちを「観察の時間」にする:波を待つ間、上手いサーファーのテイクオフを観察する。「どのタイミングでパドルを始めたか」「波のどの位置に入ったか」を分析する。以前は波を待つ20〜30分が手持ち無沙汰で、スマホを取り出すこともあった。観察を「課題」にしてからは、その時間が動作研究の時間に変わった。あるとき、上手いサーファーが膝波でも必ずパワーゾーンで波を捕まえていることに気づき、自分がいかにショルダー側から乗っていたかがわかった。「見るだけ」と「分析して見る」はまったく別の練習になる
  3. 動画撮影の評価軸を決める:GoProやアクションカメラを岸に固定して撮影する場合、「なんとなく撮る」のではなく確認項目を事前に1つ決める。テイクオフ時のアゴの位置だけ、ポップアップ後の肘の高さだけ、というように絞ることで映像確認が具体的になる

ステップ3:フィードバックを自分で設計する

ひとり練習の最大の弱点は「自分の動作の何が間違っているかわからない」ことだ。これを解決するのがフィードバックループの設計だ。仲間がいなくても、3つの方法でフィードバックを得られる。

①コレクトサーフ(オンライン活用)

コレクトサーフは動画を送ると専門コーチが動作を評価してもらえるオンライン動画添削スクールだ。ひとり練習の限界は「間違いに気づけないこと」だが、これで解決できる。年間1,000人以上の悩みを聞いてきた中で、「コレクトサーフで初めて問題がわかった」という声は非常に多い。

②動画の「評価軸」を作る

撮った映像を「ただ見返す」のではなく、チェックリストと照合する。確認ポイントの例:

  • テイクオフ時にアゴが引けているか(前を見ているか)
  • ポップアップ直後に重心が前足に乗っているか
  • ニュートラルポジションで両肘が適切な高さにあるか
  • テイクオフ後にボトムに向かう動作が入っているか

評価軸なしで映像を見ても「なんとなく変な感じ」で終わる。軸があると「3本中2本でアゴが下がっている」という具体的な発見になる。ボトムターンの改善を目指すなら、テイクオフ後にボトムへ向かう動作が入っているかを1点だけ確認する、という使い方が効果的だ。

③マイルストーンで上達を「見える化」する

フィードバックのない環境では、上達の実感を自分で作る仕組みが必要だ。「今月は白波で50本テイクオフする」「この動作ができたら次の課題に進む」という具体的な数値目標を持つことで、停滞感が大幅に減る。サーフスケートなら「10時間で横走りができる」「50時間で基本動作が安定する」という目安を目標として使うことができる。

ひとり練習でよくある間違い3つ

  1. 毎回「なんとなく乗る」だけで終わる:課題なしでセッションすると、何年同じことを繰り返しても動作が変わらない。1セッション1課題を徹底する
  2. 陸練をサボって海の回数だけ増やそうとする:年間2時間足らずのライディング時間を増やすより、陸練で反復量を増やす方が早い。海に行く回数より陸練の質を先に上げる
  3. 間違った動作を「正確に」反復する:間違いを正確に繰り返すほど、誤動作が定着する。「何が正しいか」を先に確認してから反復を始める。そのためにコレクトサーフや動画確認が有効だ

よくある質問

サーフィンはひとりで練習していても上達しますか?

上達するかどうかはひとりかどうかより「正しい練習をしているか」で決まる。フィードバックループを設計し、陸練で動作を繰り返し、海では1つの課題に集中する——この設計ができれば、仲間がいなくても着実に動作は改善される。ただし、間違ったフォームを一人で繰り返すと誤動作が定着するリスクがある点は注意が必要だ。

サーフスケートはひとり練習に本当に効果がありますか?

効果がある。特に「動作の反復回数」という点では海のサーフィンより効率が高い。波待ちの時間ゼロで、テイクオフ・アップスダウン・ボトムターンエントリーの動作を何十回でも繰り返せる。ただし「正しい動作を反復すること」が前提で、間違ったフォームでのサーフスケートは逆効果になる。

ひとりで海に入るのは危ないですか?

状況による。白波エリアでの練習(浅い・穏やか・他のサーファーが多い)なら一人でも安全に練習できる。沖のラインアップ、波が大きい日、人が少ない場所では、一人での入水リスクが上がる。ひとり練習の初期は、人が多い穏やかなビーチブレイクの白波エリアに限定することを推奨する。

週1回の練習で上達できますか?

週1回の海入りだけでは動作習得は遅い——ただし、週1回の海入りに加えて週3〜4回のサーフスケートや自宅陸練を組み合わせると話が変わる。海入りの頻度より「動作の反復総量」が上達速度を決める。週1回でも陸練を設計すれば、週3回海に入るが陸練なしの人より早く動作が安定することがある。

動画撮影はどうすればひとりでできますか?

岸に固定したアクションカメラ(GoProやDJI Osmo Actionシリーズ)が最もシンプルだ。砂浜に三脚を立てて広角で撮影するか、ライフガードタワーや看板などに固定する方法がある。重要なのは「どの動作を確認するか」を先に決めてから撮影することで、なんとなく撮ってなんとなく見ても発見が少ない。

サーフスクールとひとり練習はどう組み合わせればいいですか?

スクールでフォームの問題点を指摘してもらい、その後のひとり練習でその1点を繰り返す——という組み合わせが効率が高い。スクールは「何が間違っているかを教えてもらう場」として使い、反復はひとりでやる。毎回スクールに通う必要はなく、3〜6ヶ月に1度、フィードバックを受ける機会として使う方法もある。

まとめ:ひとり練習で上達し続けるための3ステップ

  1. 陸練をメイン練習にする——海での年間ライディング時間は2時間足らず。サーフスケートや自宅ポップアップで反復量を補う
  2. 海では1セッション1課題——課題なしで波に乗り続けても動作は変わらない。白波エリアでの反復と観察を組み合わせる
  3. フィードバックを自分で設計する——動画の評価軸を決め、マイルストーンを設定し、定期的にコレクトサーフなどでフォームを確認する仕組みを作る

一人だと停滞するのはサーフィンの難しさではなく、練習設計の問題だ。設計さえ変われば、海に入る回数が同じでも動作の変化速度は全く違う。

どのサーフスケートを使えばいいか迷っているならサーフスケート おすすめ5選を、陸トレの具体的なメニューが知りたいならサーフィン陸トレメニュー完全ガイドを参照してほしい。


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ヒガシーサー

ヒガシーサー

ブロガー/クリエイター/サーフボード開発/テストライダー

サーフィン歴20年、Beach Access・nanazeroのテストライダー、サーフボード・サーフスケート開発チーム。19年間も上達できなかったが、オーストラリアの科学的メソッドで上達。その経験を軸にブログ・SNSで一般サーファーのためのサーフィン上達方法、楽しみ方を共有している。SNS総フォロワー6.5万人。

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