DJI Osmo Action 5 Proは、4nmプロセス採用の新チップセットと大容量バッテリーにより、アクションカメラの弱点であった暗所撮影性能と連続駆動時間を大幅に改善した意欲作です。実機テストでは4K30p撮影で2時間20分の連続撮影を達成し、業界初のデュアルOLEDディスプレイ採用で視認性も向上しています。
- 業界初のデュアルOLEDディスプレイ搭載
- 4K30pで最大4時間の連続撮影が可能
- 20m防水と深度/高度センサー搭載
- DJI MIC 2を2台同時接続可能
- 47.8GB内蔵ストレージ標準装備
目次
記事を書いたヒト
本レビューでは、DJI Osmo Action 5 Proを2週間実際に使用し、以下の観点から徹底的に検証しました:
- 4K30p/60pでの連続撮影テスト(室内・室外)
- 様々な光条件下での画質評価
- サーフィンでの防水性能テスト
- サーフィン・ランニング・サーフスケートでの手ブレ補正評価
- DJI MIC 2との接続テスト
アクションカメラレビュー歴12年。これまでGoPro、DJI、Insta360など、様々なアクションカメラをレビュー。特にアウトドアスポーツでの使用経験が豊富です。
DJI Osmo Action 5 Pro 製品スペック
- センサー:1/1.3インチ CMOS
- 最大解像度:4K/120fps
- ディスプレイ:2.5インチ OLED(背面)、1.4インチ OLED(前面)
- バッテリー:1,950mAh(約4時間駆動)
- 防水性能:20m(ケース不要)
- 内蔵ストレージ:47.8GB
- 重量:約145g
前モデルからの進化点
DJI Osmo Action 5 Proは、前モデルのAction 4から大幅な進化を遂げています。特に注目すべきは新チップセットの採用による性能向上です。
- 4nmプロセス採用で発熱対策強化
- バッテリー容量が1,770mAhから1,950mAhに増加
- リア画面が16%大型化しOLED採用
- 20m防水に強化(従来16m)
- DJI MIC 2を2台同時接続可能に
- Action 4のバッテリーが使用可能
- 既存のマウントが全て使える
- 保護ケースも互換性あり
- 充電器やケーブル類も共通
- アプリの操作性も同様
画像検証
Osmo Action 5 Proの画質性能を、様々な撮影シーンで検証しました。特筆すべきは、暗所での撮影性能が大幅に向上している点です。これによりサンライズサーフィンやサンセットサーフィンなどの暗い時間帯のサーフィンの記録も行えるようになりました。
Q
暗所性能は本当に進化したの?
A
新SuperNightモードの採用により、これまでアクションカメラでは撮影が難しかった夜間シーンでも鮮明な映像を記録できるようになりました。実際のテストでは、街灯程度の明るさでも十分な視認性を確保できています。
暗所撮影性能
明るいシーンでの特徴:
- ダイナミックレンジが13.5ストップまで拡大
- 4K/60fps HDRで安定した画質
- 自然な色再現と豊かな階調表現
- 過度なシャープネス処理を抑制
SuperNightモードの効果:
- ISO感度を自動的に最適化
- ノイズ抑制と明るさのバランスを改善
- 4K/30fpsまで対応
- 色かぶりを抑えた自然な夜景表現
夜間でテストした結果、街灯程度の明るさでも被写体の輪郭がはっきりと記録できました。特に移動中の手ブレ補正と組み合わさった時の映像の安定感は印象的です。
バッテリー性能と熱対策の実力
DJI Osmo Action 5 Proの最大の強みは、長時間撮影と優れた熱対策です。実機での検証結果をご紹介します。
バッテリー持続時間の検証
- STEP
4K 30fps 連続撮影テスト
室温25度環境で画面ON状態での連続撮影
- 実測値:2時間20分
- 画面OFF時:約3時間
- 1080p時:約3時間45分
- STEP
4K 60fps HDR撮影テスト
同条件での高負荷テスト
- 実測値:1時間45分
- 画面OFF時:約2時間10分
- 温度上昇:最大42度
- STEP
屋外での実用テスト
サーフィン中の間欠的な撮影
- 総撮影時間:約2時間
- 実使用時間:2時間以上
- 温度上昇:最大38度
熱対策の検証結果
実用的なバッテリー管理のコツ
- 不要な時は前面ディスプレイをOFF
- SuperNightモードは必要な時だけ使用
- WiFiは必要時のみON
- 予備バッテリーは常に2個以上持参
- アドベンチャーコンボがおすすめ(バッテリー3個付属)
長時間の撮影では、画面の明るさを70%程度に抑えることをおすすめします。バッテリー持続時間が約20%改善され、発熱も抑えられます。また、Action 4のバッテリーも使用できるので、既存ユーザーは両方持ち歩くと安心です。
音声性能の実力
DJI Osmo Action 5 Proの大きな特徴の一つが内蔵マイクです。アクションカメラとは思えないほどの内蔵マイクの性能を兼ね備えています。
- 風切音対策:従来モデルより20%改善
- 指向性:全方位の音声をバランス良く収録
- ノイズ抑制:AIノイズリダクション機能搭載
- 音質調整:3段階のオーディオプロファイル
DJI MIC 2 を2台同時接続できる
DJI MIC 2を2台同時接続できる機能です。この機能により、インタビューやポッドキャストなどの用途が大きく広がります。
Q
DJI MIC 2 を2台接続するメリットは?
A
- インタビュー収録が1台で完結
- 2チャンネル別録りが可能
- 音量バランスを個別調整可能
- 最大50mの通信範囲を確保
独自機能の実力検証
深度/高度センサーの性能
- 20mまでの水深を正確に記録
- 水中での色補正機能搭載
- 深度データのオーバーレイ可能
- ケース不要で水中撮影OK
- 登山時の高度を自動記録
- 気圧変化も同時に記録
- GPSと連動したマッピング
- Garminデータと連携可能
内蔵ストレージの実力
47.8GB内蔵ストレージのメリット
SDカードなしでも約1時間45分の4K 30fps撮影が可能。WiFi 6対応により、スマートフォンへの転送速度も大幅に向上し、最大80MB/秒での転送を実現。バックアップの安心感が違います。
内蔵ストレージは主にバックアップ用として活用することをおすすめします。SDカードと内蔵ストレージの同時記録設定にしておけば、SDカードのトラブル時も安心です。また、DJIアプリとの連携もスムーズで、編集作業がより効率的になります。
使用シーン別の実力検証
DJI Osmo Action 5 Proの実力を、代表的な使用シーンで検証しました。特に人気の高いアウトドアスポーツでの性能を重点的にテストしています。
アウトドアスポーツでの性能
- STEP
サーフィン撮影テスト
テスト内容:2時間の海上撮影
- 20m防水性能が十分に発揮
- 水滴付着後の撮影も鮮明
- 塩水での腐食なし
- レンズの疎水性コーティング効果を確認
- STEP
サーフスケート撮影
テスト内容:スケートパークや公園での走行
- 強力な手ブレ補正を確認
- 急激な明暗変化にも追従
- HDRモードで木漏れ日も美しく
- STEP
ランニング
テスト内容:一般的な撮影シーン
- 子供達と遊ぶ記録用に最適
- 手ブレもしない
- 起動速度早い
Vlog・自撮り性能
- 前面OLEDで構図が取りやすい
- 被写体追跡が正確
- デュアルマイクで音声クリア
- 自撮り時の手ブレ補正が効果的
- 肌トーンの再現性が向上
- 画角が若干狭め
- 強逆光時の自動露出調整
- 縦撮影時の画面切り替え
- アプリ連携の安定性
プロフェッショナルユースでの検証
プロの映像クリエイターの評価
4K 60fps HDRの画質は申し分なく、10bitカラーによる豊かな階調表現も魅力です。DJI MIC 2の2台同時接続は、インタビュー撮影の効率を大きく向上させました。ただし、プロ用途では5.3K以上の解像度がほしいところです。@junichi.ishadou
アウトドアスポーツでの撮影には、アドベンチャーコンボの購入をおすすめします。予備バッテリー2個と充電ケースが付属し、長時間の撮影に対応できます。また、Vlog撮影では、DJI MIC 2との組み合わせで、プロ級の音質が得られます。
サーファー向け性能検証
Action 5 Proは前モデルから水中性能が大きく向上しています。特に、レンズの疎水性コーティングと水中でのタッチ操作性は、サーファーにとって注目すべき進化点です。
- 新型疎水性コーティングでレンズの水滴付着が激減
- 起動速度が圧倒的に速い
- 防水深度が16mから20mに向上
- 水中でのタッチパネル反応性が大幅改善
- 水中専用の色補正モード搭載
- 水深データのオーバーレイが可能に
- 波しぶきでもレンズが曇りにくい
- 海水でも画面操作が快適
- 塩水耐性が向上
- 広角モードで波全体を捉えやすい
- ブレ補正で波乗り中も安定した映像
Q
サーフィン撮影時にレンズに水滴が付きにくくなったって本当?
A
新しい疎水性コーティングにより、レンズ面での水滴の付着が大幅に減少しました。2時間のサーフセッション中のテストでは、Action 4では頻繁に必要だったレンズの拭き取りが、Action 5 Pro ではほとんど必要ありませんでした。また付着した水滴も自然に弾かれやすくなっています。
水中撮影機能の詳細検証
実際のサーフィン撮影での使用感
水中でのタッチパネル操作性が劇的に向上しています。Action 4では水中での設定変更が困難でしたが、Action 5 Proではぬれた手でも、水中でも快適に操作可能。特に、波待ち中の設定変更がスムーズになりました。また、OLEDディスプレイの採用により、強い日差しの下でも画面が見やすくなっています。ただし、水滴での誤操作があるためサーフィン中は基本的にロックを推奨。
サーファー向けセッティングのコツ
- 撮影設定:4K 60fps HDR + SuperView
- マウント位置:ボード先端30cm地点が最適、ショートボードは縦撮り推奨
- 画角設定:波の全体と自身が入るワイド設定
- 水中モード:自動色補正をON
- ディスプレイ:前面画面の常時表示設定を推奨
海水での使用後は真水でのすすぎが重要です。特にレンズカバーの周りは丁寧に洗い流してください。また、47.8GBの内蔵ストレージは、SDカードの予備として重宝します。海でのカード交換リスクを減らせるので、長時間セッションでも安心です。
まとめ:DJI Osmo Action 5 Proの評価
DJI Osmo Action 5 Proは、前モデルからの進化に加え、実用性の高い新機能を搭載したアクションカメラです。特に暗所性能、バッテリー持続時間、水中性能での進化が印象的でした。
- サーファー:優れた防水性と疎水コーティング
- アウトドア愛好家:長時間バッテリーと頑丈性
- Vlogger:デュアルマイク対応とOLED画面
- 夜間撮影が多い人:優れた暗所性能
- Action 4ユーザー:アクセサリー互換で快適アップグレード
- 5.3K以上の高解像度が必須の方
- 360度撮影が主目的の方
- 超広角撮影を重視する方
- 予算を抑えたい初心者の方
- GoPro純正アクセサリーの活用を考えている方
- 画質性能:★★★★☆
暗所性能は圧倒的。昼間の画質も申し分なし。ただし解像度は4K止まり。 - 操作性:★★★★★
デュアルOLEDディスプレイと水中タッチ操作の進化が秀逸。 - バッテリー:★★★★★
4K30pで2時間以上の実測値はGoProより優れている。 - 防水性能:★★★★★
20m防水と疎水コーティングで、水中撮影の信頼性が向上。 - コスト性能:★★★★☆
349ドルは競合と比べても魅力的。既存アクセサリーも使える。
DJI Osmo Action 5 Proは、特にアウトドアでの実用性を重視したアップデートが印象的です。サーフィンやマウンテンバイクなどのアクティビティでの使用を考えている方には、アドベンチャーコンボの購入がおすすめです。既存のAction 4ユーザーも、暗所性能と水中性能の向上は魅力的なアップグレードポイントになるでしょう。
室温30度での熱対策テスト
4K 30fps連続撮影で比較テストを実施。新型チップの効果で、前モデルより大幅に熱対策が改善されています。