このページはサーフスケート完全ガイドの一部として、「surfstik(サーフスティック)」の実際の使用感と、サーフィン練習ツールとしての評価を詳しく解説します。多くのサーフスケートが登場した現在でも、特殊なメカニズムを持つこのボードの真価はどこにあるのでしょうか?
私はサーフィン歴20年以上、サーフスケートも様々なブランド・モデルを試してきました。この記事では実際に10年以上使い続けてきたサーフスティックの特徴、メリット・デメリット、他のサーフスケートとの違いを徹底的に分析します。この特殊なサーフスケートが本当にサーフィン上達に役立つのか、それとも単なる遊び道具なのか、公平な評価をお伝えします。

メイ
サーフスティックって「サーフィンするよりサーフィンが上達する!」っていうキャッチコピーで売られてたよね。本当にサーフィンの練習になるの?それとも単なる遊び道具?
かつては革新的だったサーフスティックですが、現在のサーフスケート市場ではやや特殊な位置づけになっています。10年以上使い続けた経験から、サーフィン練習ツールとしての長所・短所を正直にお伝えします。他のモデルと比較しながら、誰にとって価値があるのかを見ていきましょう。

ヒガ
目次
サーフスティックの基本情報と特徴

surfstik(サーフスティック)は、2000年代前半に「サーフィンするより上達する」というキャッチコピーで日本でも人気を博したサーフスケートの先駆け的存在です。他のサーフスケートとは一線を画す独特のメカニズムを持っています。
基本スペック
デッキ長 | 約30インチ(76cm) |
ウィール | 特殊形状の柔らかいウィール |
トラック | 大型スプリング内蔵の特殊メカニズム |
重量 | 標準的なサーフスケートより重め(約3.5kg) |
価格帯 | 40,000〜50,000円程度(生産終了) |
メーカー | Surf Stik(アメリカ) |
他のサーフスケートとの大きな違い
サーフスティックが他のサーフスケート(Carver、YOW、Smoothstarなど)と決定的に異なる点は、そのトラックシステムにあります。
- 大型スプリングを使用:フロントトラックに大きなスプリングを内蔵し、強い反発力を生み出す
- 独特の動き:足首の動きだけでも方向転換が可能で、他のサーフスケートより少ない力で操作できる
- スライド特性:特殊なウィール形状により、スピードが出るとコントロールされたスライドが発生する
- 重量:デッキとトラックが比較的重く、エアなどのトリックは難しい
これらの特徴から、サーフスティックは他のサーフスケートとはかなり異なる乗り味を持っています。詳細についてはサーフスケートのトラック構造と選び方で解説しているサーフスケートのトラックシステムと比較すると理解しやすいでしょう。
サーフスティックの乗り心地と使用感
実際に10年以上乗り続けてきた感想として、サーフスティックの乗り心地を詳しく解説します。
ポンピングのフィーリング
サーフスティックのポンピングは、大型スプリングの反発力を利用するため、独特の感覚があります。
- 少ない力で加速可能:スプリングの反発を利用して比較的少ない力でポンピングができる
- バネのような戻り:ターン後に自然とニュートラルポジションに戻る感覚がある
- リズミカルな動き:一定のリズムで漕ぐとスムーズに加速できる
- 低速からの始動:停止状態からでも比較的簡単に動き出せる
しかし、このスプリングによる反発は、サーフィンで経験する波の反発とは全く異なる感覚であることに注意が必要です。実際のサーフィンでは、ボードの浮力と波からの反発が複合的に作用するため、スプリングのような単純な反発は存在しません。
注意点:サーフスティックのスプリングによる反発力に頼ったポンピングのクセがつくと、実際のサーフィンで力の入れ方を誤り、無駄な力を使って失速する原因になります。あくまでもバネの反発はサーフィンにはない要素だと意識しましょう。

ヒガ
ターンのフィーリング
サーフスティックのターン感覚は非常に特徴的です。
- 足首主導のターン:体重移動よりも足首の動きでターンができてしまう
- スライドしやすい特性:スピードが出るとウィールが滑りやすく、意図的でないスライドが発生する
- 限定的なレールワーク:レール(エッジ)に体重をかけるサーフィンのレールワークの感覚は薄い
- 小回り性能:比較的小さなスペースでも回転できる
この特性は、サーフィンでのターンとはかなり異なります。サーフィンでは「レールtoレール」のターン、つまり体重移動によってボードのエッジを波に食い込ませるターンが基本ですが、サーフスティックでは足首の動きで簡単に方向転換できてしまいます。
安定性と学習曲線
サーフスティックは初心者にとって比較的扱いやすい特性を持っています。
- ボードの安定性:重量があり、ノーズもテールも簡単には浮かないため、初心者でも転倒しにくい
- 学習のしやすさ:短時間で基本的な動きをマスターできる
- 子供や初心者向け:スケートボード自体が初めての人でも比較的安全に楽しめる
- クルージングの快適さ:なだらかな下り坂や平地でのクルージングが快適
私の妻は他のサーフスケート(Carver)で転倒して腰を強打した経験がありますが、サーフスティックでは一度も転んだことがないと言っています。家族で楽しむには安全性の高いモデルと言えるでしょう。

メイ
安定性が高いのはいいけど、サーフィンの練習としてはどうなの?本当に上達するの?
正直に言うと、純粋なサーフィン上達ツールとしては限界があります。特に足首主導のターンやスプリングの反発は、サーフィンとは異なる動きなので、誤った筋肉記憶を作ってしまう可能性があります。ただ、全くの初心者がバランス感覚や基本姿勢を養うには役立つ側面もあります。目的に応じた使い方が大切ですね。

ヒガ
サーフスティックの5つの課題点
サーフスティックをサーフィン練習ツールとして評価する上で、いくつかの重要な課題点があります。
- 足首で曲がれてしまうサーフィンと異なる動き
- バネの反発がサーフィンの波の力と大きく異なる
- スタンス幅が実際のサーフボードより狭い
- スピードが出るとすぐにスライドしてしまう
- トップアクションやスナップターンの練習に適さない
1. 足首で曲がれてしまう問題
サーフスティックの最大の課題は、サーフィンと異なる動きで操作できてしまう点です。サーフィンでは体全体を使った体重移動によるレールワークが基本ですが、サーフスティックは足首を動かすだけでも方向転換が可能です。
このため、サーフィン上級者や長年サーフィンとスケートボードに親しんできた人にとっては、非常に違和感を覚えるモデルとなっています。足首だけで操作する癖がつくと、サーフィンでのレールワークが弱くなり、パワーのあるターンができなくなる可能性があります。
2. バネの反発の問題
サーフスティックの大型スプリングは、サーフィンでは経験しない強い反発を生み出します。サーフィンでの反発は、波の力とボードの浮力、そしてサーファーの動きが複合的に作用するものであり、単純なバネの反発とは全く異なります。
サーフスティックに慣れると、このスプリングの反発に依存したポンピングやターンのクセがつく可能性があります。これはサーフィンでは役立たず、むしろ不適切な力の入れ方や体重移動につながるリスクがあります。
3. スタンス幅の問題
サーフスティックのデッキ長は約30インチと、実際のサーフボードに比べると非常に短く、スタンス幅(前足と後ろ足の間隔)が限られています。サーフィンでは波の状況や行いたいマニューバーに応じて、スタンス幅を柔軟に変えることが重要ですが、サーフスティックではこの練習が十分にできません。
長期間使用していると、狭いスタンスに慣れてしまい、サーフィン時に適切なスタンス幅が取れなくなる可能性があります。
4. スライドの問題
サーフスティックの特殊なウィールデザインは、スピードが出るとすぐにスライドするという特性があります。これは初心者にとっては安全性を高める面もありますが、サーフィンのターン練習としては適切ではありません。
サーフィンでは、レールを波に食い込ませてグリップを維持しながらターンすることが基本です。このスライド特性に慣れると、サーフィンで「抜け」が生じやすくなり、パワーやスピードのあるターンができなくなるリスクがあります。
5. トップアクション練習の限界
サーフスティックは重量があり、スプリングの特性上、急激な切り返しや素早いスナップターンなどのトップアクションの練習には適していません。特に現代のパフォーマンスサーフィンで重要な要素であるスナップやカットバックなどの練習には大きな限界があります。
トップアクションの練習をするなら、YOWやCarver C7、Carver CXなどの現代的なサーフスケートの方が適しています。
サーフィン練習ツールとしての価値を検証
では、サーフスティックはサーフィン練習ツールとして本当に価値があるのでしょうか?長期使用経験に基づいて、サーフスティックがサーフィンのどの側面の練習に役立つかを検証します。
- バランス感覚の向上:基本的なバランス感覚や横乗りの感覚を養える
- 基本姿勢の確認:サーフィンの基本的なスタンスやポジションの体感
- 初心者の導入ツール:サーフィン・スケートボード両方の初心者に適した入門ツール
- 楽しみながらの導入:スケーティングの楽しさを体験しながらサーフィンに興味を持てる
- レールワーク:サーフィンの核心となるレールtoレールのターン感覚が養えない
- パワーターン:力強いボトムターンやカットバックなどの練習に適さない
- 体重移動:サーフィンで必要な正しい体重移動の感覚が身につかない
- トップアクション:スナップやフローターなどのトップアクションの練習ができない
- ポンピング:バネの反発に依存したポンピングはサーフィンとは大きく異なる
総合的に評価すると、サーフスティックは完全な初心者がサーフィンの基本姿勢やバランス感覚を養う入門ツールとしては有効ですが、中級者以上のサーファーのスキル向上や技術的なトレーニングには適していません。
特に現代のパフォーマンスサーフィンに必要なスキルを習得したい場合は、より現代的なサーフスケートブランドを選ぶべきでしょう。
他のサーフスケートとの比較
サーフスティックと現代の主要サーフスケートブランドを比較してみましょう。
項目 | サーフスティック | Carver CX | Carver C7 | YOW |
---|---|---|---|---|
メカニズム | 大型スプリング | RKPベース | ピボットアーム | Merakiスプリング |
サーフィンの再現性 | 低い | 中~高 | 高い | 非常に高い |
レールワーク練習 | ✕ | ◎ | 〇 | 〇 |
ポンピング感覚 | 独特(バネ反発) | パワー必要 | 滑らか | 非常に滑らか |
初心者適性 | ◎(安定性) | 〇 | 〇 | △(不安定) |
上級者トレーニング | ✕ | ◎ | 〇 | ◎ |
クルージング性能 | 〇 | ◎ | 〇 | △ |
現在の入手性 | ×(生産終了) | ◎ | ◎ | ◎ |
この比較からわかるように、サーフスティックは初心者の安定性という点では優れていますが、サーフィン練習ツールとしての機能性は現代のサーフスケートには及びません。特にレールワークやパワーターンの練習については、Carver CXなどのモデルの方がはるかに適しています。
詳しい比較や各モデルの特徴については、【2025年最新】サーフスケート おすすめ5選で詳しく解説しています。

メイ
じゃあ結局、サーフスティックは何のために使うのがベストなの?どんな人におすすめ?
サーフスティックは「サーフィン練習ツール」というより「サーフィンの要素を取り入れた楽しいクルージングボード」と捉えるのがベストだと思います。特に小さなお子さんや家族で楽しむ用途、または転倒リスクを減らしたい方に向いています。サーフィンの技術向上が目的なら、現代のサーフスケートの方が断然効果的です。

ヒガ
サーフスティックがおすすめな人・おすすめできない人
- スケートボード初心者で安定性を求める人
- 子供や家族で楽しむための安全なボードを探している人
- サーフィンの基本姿勢やバランス感覚を養いたい完全初心者
- ゆったりとしたクルージングを楽しみたい人
- コレクションとして古いモデルに興味がある人
- サーフィンの技術を本格的に向上させたい中級者以上のサーファー
- パワーターンやレールワークを練習したい人
- トップアクション(スナップ、カットバック等)の練習をしたい人
- スケートパークでトリックを楽しみたい人
- 最新のサーフスケートテクノロジーを体験したい人
よくある質問(FAQ)
Q
サーフスティックは現在も購入できますか?
A
残念ながら、オリジナルのサーフスティックは生産終了しており、新品での購入は困難です。中古市場で見つかることもありますが、類似の特性を持つ現代のサーフスケートとしては、初心者向けの比較的安定したモデルを選ぶとよいでしょう。WOODY PRESSやnanazeroなどの入門モデルがおすすめです。
Q
サーフスティックのメンテナンス方法は?
A
サーフスティックは特に大型スプリングの部分が重要です。定期的にほこりや砂を除去し、軽く油を差すことでスムーズな動きを維持できます。また、ウィールベアリングの清掃と注油、ボルトの緩みチェックも忘れずに行いましょう。屋外保管は避け、乾燥した場所に保管することでスプリングの劣化を防げます。詳しいサーフスケートのメンテナンス方法はサーフスケートのメンテナンス完全ガイドをご覧ください。
Q
サーフスティックはどんな路面に適していますか?
A
サーフスティックは平滑で少し硬めの路面が最適です。アスファルトやコンクリートの平坦な場所、特に緩やかな傾斜のある場所で最も性能を発揮します。砂や砂利、凹凸の多い路面ではウィールが引っかかりやすく、スムーズな走行が難しくなります。また、濡れた路面ではスライドしやすくなるので注意が必要です。公園や学校の校庭、駐車場などの広いスペースが練習に適しています。
Q
サーフスティックの代わりになる現代的なサーフスケートは?
A
サーフスティックのように初心者にも比較的安定しているサーフスケートとしては、WOODY PRESSの初心者向けモデル(Thruster 2)や、nanazero サーフスケート、長めのウィールベースを持つCarver C7モデルなどがおすすめです。これらは現代的なサーフトレーニング性能を持ちながらも、比較的安定した乗り心地を提供します。詳しくは【初心者向け】サーフスケートの乗り方も参考にしてください。
まとめ:サーフスティックの評価と適した使い方
サーフスティックは2000年代に登場した先駆的なサーフスケートで、「サーフィンするより上達する!」というキャッチコピーで人気を集めました。しかし、10年以上使ってきた経験から、その実態について正直に評価すると、純粋なサーフィン上達ツールとしては限界があります。
サーフスティックの特徴的な大型スプリングメカニズムは、サーフィンの波の反発とは全く異なる感覚を生み出し、足首だけで操作可能な設計は、サーフィンのレールワークとは異なる動きを助長してしまいます。
一方で、スケートボード初心者や子供、家族での使用には安全性や安定性の面で優れており、「サーフィンの要素を取り入れた楽しいクルージングボード」としての価値は十分にあります。
現在のサーフスケート市場では、Carver C7、Carver CX、YOW、WOODY PRESS、nanazeroなど、より優れたサーフィン練習ツールが多数存在します。サーフィンの技術向上が目的なら、これらの現代的なモデルを選ぶことをおすすめします。
適切な使い方と期待値を設定すれば、サーフスティックは今でも楽しめる魅力的なボードです。サーフィンの練習というより、「サーフィン的要素を持つ楽しいクルージングツール」として捉えることで、その価値を最大限に引き出せるでしょう。
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