サーフィンの準備運動とストレッチのやり方 第二章 タケル体操

8 min
世界一やさしいサーフィン上達講座

この記事でわかること

  • サーフィン前に「伸ばすストレッチ(静的ストレッチ)」をやってはいけない理由
  • 動的ストレッチ「タケル体操」全8ステップの具体的なやり方
  • 静的ストレッチと動的ストレッチの使い分け(前・後・就寝前)
  • タケル体操を毎朝のルーティンに取り入れる方法

サーフィン前のストレッチは、動的ストレッチが正解です。

私は16歳でサーフィンを始めてから19年間、海に入る前にカラダを伸ばす静的ストレッチをやり続けていました。スクールでも先輩からも「準備運動はしっかり伸ばせ」と教わったからです。しかしそれがパフォーマンスを下げ、怪我を招く準備運動だったと知ったのは、コレクトサーフのメソッドに出会ってからです。この記事では、20年以上サーフィンをしてきた経験をもとに、動的ストレッチ「タケル体操」のやり方と、静的ストレッチとの正しい使い分けを解説します。

第2章の要点:サーフィン前の準備運動は静的ストレッチよりも動的ストレッチが有効です。2章ではカラダのパフォーマンスを高めてくれる【タケル体操】のやり方を解説しています。

第2章の内容は、40代でも20代のように動けるカラダの使い方を紹介しています。

サーフィン前に「伸ばすストレッチ」をやってはいけないのはなぜか?

サーフィン前に伸ばすストレッチをやっていませんか?

私もサーフィン初心者の頃に、スクールや先輩からカラダを伸ばすストレッチをしてから海に入るように教えられました。

それが19年間も続けてしまった理由ですが、実はサーフィン前の伸ばすストレッチは、カラダのスイッチをOFFにしてしまって、パフォーマンス低下と怪我に繋がります。

伸ばすストレッチは静的ストレッチ(Static stretch)と呼ばれていて、本来は運動後に行って、筋肉を弛緩させて回復を早めるストレッチになるそうです。

運動前に筋肉を弛緩させちゃうと、頭がイメージするカラダの動きと、緩んでしまった筋肉の動きがズレてしまってパフォーマンス低下と怪我に繋がってしまいます。

具体的に考えてみると分かりやすいです。サーフィンのテイクオフでは、瞬時に腕で体を押し上げ、足を前に引きつけて立ち上がります。この一連の動作は、神経と筋肉が素早く連動することで成り立ちます。その直前に静的ストレッチで筋肉を「緩めた」状態にしておくと、神経が筋肉に指令を送っても反応が鈍くなります。砂辺のリーフブレイクで波に乗り遅れる、あるいはテイクオフで体が起き上がらない、という経験をした人は、準備運動の種類を見直す価値があります。

静的ストレッチはサーフィン後のお風呂に入った後や、就寝2時間前に行うようにして、回復を早めるために行うようにしましょう。

19年間、サーフィン前にカラダを伸ばす静的ストレッチをやっていました…。

サーフィンの動作は「傾ける・屈伸する・捻る」という3つの基本動作の組み合わせです(詳しくは「サーフィン 基本動作 は3つだけ【傾ける、屈伸する、捻る】の要点」を参照)。これらの動作を海に入った1本目から発揮するためには、その動きを「ウォームアップ」として事前に体に入れておく必要があります。静的ストレッチはその逆をやってしまう準備運動なのです。

「タケル体操」とは何か?なぜサーフィン前に有効なのか?

動的ストレッチの代表格が、タケル体操です。

【タケル体操】は、Corrective Surf’n’ Fitness のコーチでもあり、11回のサーフィンワールドチャンプでもあるケリー・スレーターのボディコンディショニング、エックスゲーム2大会連続金メダルの大塚タケル選手の指導も行う【越地健】さんが考案した運動前のストレッチになります。

このストレッチは運動前に行うと効果が高い動的ストレッチ(Dynamic stretch)を独自に組み合わせたもので、5分〜10分の短い時間で理想的なカラダの状態を作れる体操です。

静的ストレッチが「筋肉を緩める」のに対して、動的ストレッチは「関節の可動域を動きながら広げる」アプローチです。体を動かしながら温め、神経と筋肉の連携を高めるため、運動前のウォームアップに適しています。タケル体操が優れているのは、サーフィンで実際に使う関節――足首・手首・肩・胸・背中・股関節――を順番にアクティベートしていく設計になっている点です。

私のタケル体操を取り入れるようになってから、サーフィン中に怪我をすることもなくなり、明らかにカラダが動くのを感じているので、サーフィン前に限らず、毎朝のルーティンに取り入れています。

サーフィン前にタケル体操を取り入れてから、怪我をしなくなりました。サーフィンも1本目から余裕で動けるようになりました。

サーフィン上達においては「正しい練習 × 反復時間」が大切で、どちらが欠けても上達しません。しかし正しい練習の前提として、怪我をしない体の状態を作ることがあります。タケル体操はその入口に当たります。「サーフィン ハウツー 上達のコツ 科学的メソッドで解説」では、上達の全体像をまとめているので、ストレッチと合わせて確認してみてください。

タケル体操ルーティン動画 2022年度アップデート版

タケル体操【1】〜【4】のやり方は?(足首・足の甲・手首・胸)

まず下半身と上半身をつなぐ部位から順番にほぐしていきます。

タケル体操【1】足首

  • 足の指に手の指を入れる
  • 足首を持って太ももの外側にくるぶしを当てる
  • 肘で膝を押して足首を回す
  • 肘と肩甲骨を使って足首を回す
  • 体重をしっかりかける
  • 前後に5回〜10回ずつ
  • 左右の足で行う

ポイントは体重をかけて、太ももの痛いところをグリグリすること。足首の可動域はサーフィンのスタンス全体に影響します。足首が硬いと、ニュートラルポジションで膝が内側に入りやすく、バランスが崩れる原因になります。スタンスの基本については「サーフィン スタンス 決め方は?ニュートラルポジションを理解すれば失敗しない」で詳しく解説しています。

タケル体操【2】足の甲

  • 足の指を開く
  • 足の指を捩る
  • 中足骨を前後に伸ばす(剥がすイメージ)
  • 左右両足で行う

本来、足は手と同じくらい動かせるらしい。そのために中足骨の強張りをほぐしていこう。サーフィンのデッキパッド上では足の指の感覚が波を読む時に使われています。足の甲から指先まで意識してほぐしておくと、ボード上でのグリップ感が変わります。

タケル体操【3】手首

  • 四つん這いの姿勢
  • 手のひらを返す
  • 片手で手を押さえる
  • 体重をかけながら左右に回す
  • 左右5回〜10回
  • 手のひらの表裏を変える
  • 同じ動きを行う

ゆっくり体重をかけて、ゆっくり回そう。パドリング中、手首はかなりの負荷を受けます。リーフブレイクでのパドル中に手首が痛くなった経験がある人は、ウォームアップが足りていない可能性があります。手のひら表裏を両方やることで、屈曲と伸展の両方向をアクティベートできます。

タケル体操【4】胸

  • 片方の手を胸の上側に当てる
  • 息を吸いながら下がってる手の親指を後ろ側に捻る
  • 息を吐きながら下がってる手の親指を前側に捻る
  • 地面に思いっきり親指を突き刺すイメージで行う
  • 5回〜10回行う
  • 左右で行う

息を吸いながら胸を開く、息を吐きながら胸を閉じる! 胸椎の回旋可動域はサーフィンのターン動作に直結します。胸が開かないと、腕を振り上げる動きが窮屈になり、ターンのひねりが小さくなります。「親指を地面に刺す」というイメージは、肩甲骨から胸椎まで一気に動員するためのキューです。

タケル体操【5】〜【8】のやり方は?(背中・肩・横隔膜・お尻)

後半4つは、パドリングと体幹安定に関わる部位を中心に動かします。

タケル体操【5】背中

  • 両手を広げる
  • グーサインを作る
  • 雑巾を絞るように背中を絞る
  • 息を吐きながら肩甲骨をグーっと寄せる感じ
  • 力強く行う
  • 5回〜10回左右で繰り返す

グッと背中と肩甲骨を寄せるイメージでやりましょう! パドリングの推進力は腕だけでなく、肩甲骨の動きが大きく関係しています。「雑巾絞り」のイメージで力強く行うことで、肩甲骨まわりの筋群(菱形筋・僧帽筋中部)をアクティベートできます。パドリングで肩が疲れやすい人は、この部分の動員が弱いケースが多いです。

タケル体操【6】肩回し

  • 肩に手を置く
  • 背中から回す
  • 肘をつけるように回す
  • 前後に5回〜10回
  • 脇に手を入れる
  • 同じ動きを行う

肘をつけるように回す部分がポイントです! 「肩から回す」のではなく「背中から回す」という意識が重要です。肩関節単体で回すとインナーマッスルへの刺激が弱くなります。脇に手を入れてからの同じ動きは、肩甲胸郭関節の可動性を高めるためのバリエーションです。この2段階で肩まわり全体をカバーします。

タケル体操【7】横隔膜とお腹

  • 腹直筋と腹横筋の間に両手の指を食い込ませる
  • 横側の腹筋の窪みに指を入れていくイメージ
  • 息を吐きながらしゃがむ
  • 指をお腹に食い込ませる
  • 肘を膝の内側に入れる
  • 息を吐きながら足を倒す
  • 5回繰り返す

慣れるとやり方が分かってきます。横隔膜は「呼吸の筋肉」ですが、体幹の安定にも関わります。サーフィンでテイクオフや波のフェイスでのターン中に、お腹が抜けてしまう感覚がある人は体幹の深部筋が機能していないことが多いです。この動きは最初は感覚がつかみにくいですが、続けるうちに「腹の深いところが動いている」感覚が分かってきます。

タケル体操【8】お尻

  • 仰向けに寝る
  • 手でグーを作る
  • グーをお尻の片方の窪みに入れる
  • そのまま体重をかける
  • グーを入れた方の足を大きく回す
  • 左右5回ずつ
  • 左右の足で行う

自宅でやるときはテニスボールを使うと、より効果が高いです! 股関節の可動域はサーフィンの全動作の土台です。スタンス幅や体重移動の質は、お尻まわりの柔軟性と直結します。砂辺のリーフではテイクオフ後すぐに体重移動が必要になりますが、股関節が硬いと1本目から動きが鈍くなります。私がこの部位を特に重視するようになったのは、股関節の可動域を増やしてからスタンス幅の調整がしやすくなったと感じたからです。スタンス幅の詳しい考え方は「サーフィン スタンス幅の決め方|「肩幅」より大事な骨盤の向きと3つの基本動作」で解説しています。

タケル体操はサーフィン以外でも使えるか?

結論から言うと、使えます。

タケル体操は子どもたちの運動能力向上にも繋がります。体育の前や部活動の前に取り入れるようにすると、カラダのパフォーマンスを高められて、なおかつ怪我を防ぐことができるのでおすすめです。

ラジオ体操をタケル体操に切り替えて欲しいです。

私自身、タケル体操をサーフィン前だけでなく毎朝のルーティンに組み込んでいます。5〜10分で完結するので、出勤前や海に行く前の時間が限られているときでも続けられます。サーファーが陸上で使える時間を「8,000時間の使い方」として最大活用するという考え方に通じますが、毎朝の体操はその一部です。陸トレと組み合わせる場合は「サーフィン陸トレメニュー完全ガイド|自宅15分でできるパドリング・テイクオフ強化法」もあわせて参考にしてみてください。

また、サーフスケートを練習している人にも有効です。サーフスケートのアップスダウンやカービングは股関節・胸椎・肩まわりの連動が必要で、タケル体操はその動きの準備に使えます。

よくある質問

Q. タケル体操はどのくらいの時間がかかりますか?

1〜8のステップをすべて行うと、5〜10分で完結します。各ステップで5〜10回が目安なので、慣れてくれば5分で終わります。海に到着してから着替えている間や、砂浜で波をチェックする前に行うのがおすすめです。

Q. 静的ストレッチはサーフィンで一切やらなくていいですか?

いいえ、静的ストレッチには正しい使いどころがあります。サーフィン後のお風呂上がり、または就寝2時間前が適しています。体温が上がった状態で行うと筋肉が伸びやすく、翌日の疲労回復が早まります。「サーフィン前はNG、サーフィン後はむしろ積極的に」という使い分けが基本です。

Q. タケル体操は毎回全ステップ行う必要がありますか?

時間がないときは、足首・肩回し・お尻の3つを優先するといいです。これらはサーフィンの動作で特に使用頻度が高い関節です。ただし、余裕がある日は全8ステップを順番に行うほうが体全体のアクティベーションが高まります。まず毎日続けることを優先して、できる範囲から始めましょう。

Q. タケル体操【7】横隔膜のやり方がよく分かりません。コツはありますか?

最初は「指をお腹に食い込ませる」感覚がつかみにくいです。コツは「息をしっかり吐ききってからしゃがむ」こと。息を吐くとお腹が凹むので、そのタイミングで指を深く入れやすくなります。3〜4回繰り返すうちに感覚が分かってきます。動画を見ながら一緒にやってみることをおすすめします。

Q. 子どもにもタケル体操を教えたいのですが、注意点はありますか?

子どもでも安全に行えます。ただし、力を入れすぎないよう声をかけながら一緒にやるのがおすすめです。特に【1】足首のグリグリは、最初は軽い体重から始めましょう。体育の前、部活前など、何らかの運動の前に取り入れることでパフォーマンスと怪我予防の両方に効果があります。ラジオ体操の前後に5分追加するだけでも変わります。

Q. タケル体操と陸トレは組み合わせてもいいですか?

組み合わせを推奨します。タケル体操はあくまでウォームアップです。その後にパドリング強化や体幹トレーニングを行う場合も、タケル体操でアクティベーションしてからのほうが質の高い練習ができます。陸トレのメニューは「サーフィン陸トレグッズおすすめ11選|目的別に厳選した本当に効くもの」で道具ごとの使い方をまとめています。

まとめ:サーフィン前のストレッチはタケル体操に切り替える

  1. サーフィン前は動的ストレッチを行う(静的ストレッチはサーフィン後)
  2. 越地健氏が考案したタケル体操でパフォーマンスを高める
  3. タケル体操【1】〜【8】を5〜10分でサーフィン前に行う
  4. 毎朝のルーティンに取り入れることで継続的な効果を得る
  5. タケル体操はサーフィン以外・子どもにも有効

19年間の静的ストレッチを動的ストレッチに切り替えたのは、私にとって大きな変化でした。変えてから怪我がなくなり、海に入った1本目から体が動くようになりました。タケル体操は5分でできます。次に海に行く前に、一度試してみる価値はあります。次のステップとして、疲れないパドリングの習得に進みましょう。

2章の内容は動画トレーニングを参考にしながら取り入れてみましょう。分からないことがあれば、コメント欄に書き込んでもらえると助かります。

次は3章【疲れないパドリング】だよ。

3章へ進む

世界一やさしいサーフィン上達講座の全体像(画像)

2章の内容は4大テクニック【カラダの使い方】になります。日々に取り入れてカラダのパフォーマンスをいつまでも20代に保てるように続けていきましょう。

【せかやさサーフィン】はサーフィン初心者がサクッと最短で上達してもらうためのテクニックをまとめています。テクニックとは小手先のものではなく【使い方】に重点を置いています。

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やさしいサーフィン上達講座の流れ

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サーフギア選びの全体像を知りたい方は「サーフギア完全ガイド|道具選びの全知識を体重・レベル別に解説」もあわせてご覧ください。

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この記事のつくり方
体験にもとづく記述は、筆者のヒガシーサーが実際に経験したことだけです。構成の整理・下書き・校正・ファクトチェックにはAIを使っています。内容の責任は筆者にあります。(最終更新:2026-09-18)

ヒガシーサー

ヒガシーサー

ブロガー/クリエイター/サーフボード開発/テストライダー

サーフィン歴20年、Beach Access・nanazeroのテストライダー、サーフボード・サーフスケート開発チーム。19年間も上達できなかったが、オーストラリアの科学的メソッドで上達。その経験を軸にブログ・SNSで一般サーファーのためのサーフィン上達方法、楽しみ方を共有している。SNS総フォロワー6.5万人。

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